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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科15巻1号

1961年01月発行

文献概要

臨床実験

網膜中心動脈血圧より見た起立性脳循環調節障害—主として起立性脳単独低血圧症について

著者: 本橋昭男1

所属機関: 1東京都立豊島病院眼科

ページ範囲:P.63 - P.69

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I.緒言
 起立性循環調節障害については,BradburyおよびLambryの報告以来今日までSchellong,Nylinその他多数の研究があり,最近では治療面でもすぐれた報告がある。これは眩暈,頭痛,眼精疲労または疲労感を主訴とする疾患で,従来神経性循環無力症,脚気,貧血,メニエール症候群またはノイローゼと見なされていたものの中には意外にこの疾患が多いものである。最近は複雑化した環境のためにわが国においてもその数が増えており,重要な問題の一つとして注目されてきている。さて,起立性循環調節障害のある場合は当然脳循環調節障害を伴うことは推測されるから,診断に重要な体位変換試験には全身血圧以外に網膜中心動脈血圧の変動を測定することが脳循環の状態を観察する最も手近な方法であろう。しかし,上記の眩暈,頭痛等を主訴とするものの中には,全身血圧の起立性低下を伴わずに網膜中心動脈血圧のみに認める特殊な起立性低血圧が存在することが,最近眼科領域において注目されている。起立性脳単独低血圧(L'hypotension cerebraleorthostatique isolee)または起立性網膜単独低血圧(L'hypotension retienne orthostatiqueisolee)という名称で呼ばれるもので,注意して観察すると意外に多いといわれている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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