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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科15巻1号

1961年01月発行

文献概要

臨床実験

内分泌性眼球突出に関する研究—第1報甲状腺機能異常患者の血清による金魚の眼球突出反応に就て

著者: 植村恭夫1

所属機関: 1慶大眼科教室

ページ範囲:P.76 - P.83

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緒言
 甲状腺機能異常に伴つて発生する眼球突出は,甲状腺疾患の診断,治療方針の決定に重要な症状とされている。此の眼球突出は甲状腺疾患の治療法の進歩した今日に於ても最も難治なものとされ,他の症状の軽快若くは消失した後でも尚依然として残存し患者を苦しめることが少くない。内分泌性眼球突出は,甲状腺機能亢進に先立つて出現することもあるし,機能亢進が起つてから出現する場合もある。又,機能亢進が自然に,或は治療により減退した後で始まる場合もある。稀には甲状腺機能に異常がなくても起る場合がある。又,甲状腺機能低下に伴つて出現する場合もある。甲状腺機能亢進症(甲状腺中毒症)で眼球突出のないものがあることも周知のことである。時にはCusshing氏病,脳下垂体腫瘍の患者に軽度或は中等度の眼球突出をみることがある。此のような眼球突出の発生には,古来より臨床的,実験的に幾多の解明が試みられて来たが未だ不明の点が少くない。1941年,Friedgoodは脳下垂体前葉に特殊なOphthalmotropic Principleの存在することを示唆し,Dobyns等(1953-1954)も"Atlantic minow"なる魚を使つて,進行性或は重症の眼球突出の患者血清,脳下垂体抽出物により眼球突出の起ることを認め,Friedgoodの説を支持した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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