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臨床実験
原発性緑内障の心身医学的観察
著者: 加藤謙1 松井瑞夫1 秋谷忍1 河本道次1 阿部正2 馬場礼子2 菊池正子2
所属機関: 1慶大眼科 2慶大神経科
ページ範囲:P.1051 - P.1063
文献購入ページに移動眼科医が日常の診療に於て,遭遇する問題のひとつに,原発性緑内障に於ける眼圧の起伏,発作の襲来が,患者の情動体験に深く左右せられているのではないかと言う疑問がある。このことは従来の文献(後述)からも考えられるところであるが,眼科医は,患者の精神内界へ探究を試み,情動の機微に触れることに慣れていないために,その実情を明らかにし得ないことが多い。併し,時には発作と情動体験との関係が極めて密接且つ顕著であつて,眼科医にも容易に情況を把握することができる場合がある。著者の一人加藤も,かつてこのような症例を経験して,簡単に記載したことがある。この例は,老年の男子に緑内障の発作が屡々現われ,その発作は,患者がその息子と口論した夜に規則正しく現われた場合であつた。このような経験に伴なつて直ちに起る疑問は,次の如くである。
(1)緑内障の発作や眼圧上昇と情動体験との関係は,このような顕著な症例に限られるものであろうか?眼科医が日常接する平凡な症例は果して情動と無関係であろうか。
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