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私の経験
主観的単一眼と絶体単一視
著者: 舩石晋一
所属機関:
ページ範囲:P.1181 - P.1182
文献購入ページに移動 片眼を閉じ,他眼の制御の許に,之を前方から,指,鉛筆等で指しつつ接近すると,正中面,鼻梁上,眼より下方に達する。途中眼を開いて見ても,同じ処を指している事が判る。此「閉じた眼を指す実験」は,仰臥して,点眼していた時,下瞼を反転して,点滴を他眼でよく見ながら滴下したのに,意外にも,之が鼻梁に落ちた事から,偶然,発見したものである。さて,上の実験で,眼を指したまま,交互に,左右の眼を閉じて見ると,常に閉じた眼を,又,両眼を開いて見ると,何れをも指している様感じる。更に,上下,左右何れかに寄つた方向から,閉じた眼を,直接指すと,何れも,頭部関節を指している。先きに,視方向の中心を求めたのと同様な実験をして,水平及び垂直面で,視標の方向を記入した代りに,今度は,視標群から閉じた眼への方向を求めると,其方向線は視方向中心,即ち,頭部関節に集る。又,棒を手に,頭上及び側方で,眼の深さを,側方及び後方で,高さを測ると,同じく,凡そ,環椎後頭関節部にある様感じる。此事は,両眼でも,片眼でも同様で,視方向中心に,点状の1個の眼があり,此単一眼で,凡てのものを見ていることになる。之を,主観的単一眼と名ずけて,既に発表した。
此様に,視方向の中心にある,点状の,心理学的の単一眼で物を見る限り,複視はあり得ないで無条件に単一視されるのは当然である。
此様に,視方向の中心にある,点状の,心理学的の単一眼で物を見る限り,複視はあり得ないで無条件に単一視されるのは当然である。
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