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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科15巻2号

1961年02月発行

文献概要

特集 第14回日本臨床眼科学会講演集 (1)

蜘蛛及び蜘蛛の巣毒による眼障害—眼瞼,球結膜浮腫及び球結膜下出血

著者: 川島恂二

所属機関:

ページ範囲:P.232 - P.233

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 今迄知られている蜘蛛の毒腺よりの分泌毒液の他に,蜘蛛の体液や蜘蛛の巣にも毒がある事を発見した。若し蜘蛛の体液や蜘蛛の巣の粘絲が,直接眼組織に触れる時は,被害眼の眼瞼腫脹,球結膜の高度の浮腫,或は球結膜下出血を来す。而も此等の被害例は,蜘蛛毒の強い夏から初秋の間に相当多い事を知つた。殊に蜘蛛の巣に引つ掛かつて2〜3日後に生ずる球結膜下出血例が一番多い。毒成分は今迄知られている向神経毒,溶血毒,蛋白溶解毒等の多蛋白体酵素様毒の他に,発癌物質として知られる滝沢癌のキノン系物質が主であるが,此他にチロデン,ニンヒドリン,アミノ酸,コリンエステラーゼを含有し,此他にセロトニンも含まれる公算がある。但しヒスタミンは含有しない。
 治療には対症的にコーチゾン系を用いたが,特効的ではない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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