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特集 第14回臨床眼科学会号(2) 綜説
高血圧患者に於て脳出血及び視束出血とともに発来した網膜黄斑部の円盤状浮腫—其の臨床所見と剖検所見
著者: 生井浩1 浦田誠康1 三松高明1
所属機関: 1九大眼科
ページ範囲:P.307 - P.313
文献購入ページに移動ここに報告する症例は中等度の動脈硬化性網膜症を有した男子の患者で,九大眼科の外来に通院中,待合室に於て突然脳出血の発作を起して死亡した。私共は其の患者の死の半時間前に眼底を検査し,左眼の網膜黄斑部に漿液性中心性網膜炎に酷似する円盤状浮腫巣を発見した。死後其の眼球を剖検し,此の浮腫が中心窩の前面に貯留した網膜前滲出液であり,黄斑部毛細血管網より出たものであることを確かめ得た。従来「血管痙攣性中心性網膜症」の名称の下に呼ばれる疾患の病態はあいまいであるが1)5)8),この症例の病態こそ,この名称に適合したものと考えられるので,其の臨床所見と剖検所見をここに記載する。
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