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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科15巻3号

1961年03月発行

文献概要

特集 第14回臨床眼科学会号(2) 綜説

キモトリプシンによるチン氏帯離断に関する研究(第2報)

著者: 田中直彦1

所属機関: 1横浜市立大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.353 - P.360

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I.緒言
 著者は白内障全摘出のためのα—Chymotrypsin(以後chと略)によるチン氏帯離断に関する一連の基礎的実験を行い,その結果を第1報として発表したが,Enzymatic zonuololysisの創始者であるJ.Barraquer10)による1958年の発表以来今日までに可成り多くの臨床追試例や基礎的実験の報告がなされている。
 即ち,臨床追試例として,E. Walser12), H.Remky11), A. Rizzuti31),H. Campbell29), A.Ainsle26), E. Zorab27), J. Cogan25)等はchを応用することにより手術が非常に容易となり,術中術後の合併症も非使用の例と特に変らないと述べている。又,手術創の治癒はむしろ速かで術後の眼組織の炎症反応も少なく,これはchの抗炎症作用の故ではないかと云つている人もある。しかし,一方chを用いない手術に比べてE. Wa—lser14)は別の報告で術後の硝子体ヘルニアが多く,chにより硝子体膜がおかされると考え,W.Rohrschneider17), J. Fuchs16), H. Fanta24), M.Radnot18)等は創傷治癒が遅延する傾向があると云つている。術後の緑内障についてW.Rohr—schneider17)は差が無いと云つているが,A. Ain—sle26)はch使用32例中に,1例の続発性緑内障をみたと云う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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