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特集 第14回臨床眼科学会号(2) 綜説
放射線による眼瞼治療時の防護について
著者: 浜野光1 山崎武2 善成務2 速水昭宗3 真鍋準子4
所属機関: 1阪大眼科 2阪大放射線科 3阪大附属診療X線技師学校 4ハマノ眼科
ページ範囲:P.387 - P.392
文献購入ページに移動眼疾患の治療に放射線治療をとり入れたのは,Mayou (1902)と言われているが,我が国でも水尾(1910)以来その応用範囲が拡げられ,その有用性が重視されてきた。しかし,一方その際の障害についても,Mayou (1902)以来問題としてとりあげられてきたが,眼科領域においてはその照射部位が小さいこと,及び全身的影響が比較的少いことなどの理由で,我が国ではその防護については,飯塚慶二(1931),戸塚清(1944)らの報告があるにすぎない。しかしこの眼科的障害はなお見逃し得ないものがあり,放射線の質と量によつては,広島,長崎の原子爆弾の例に見るまでもなく,慢性障害としての白内障の発生が放射線障害のうちの一つの命題として,当然登場すべきものである。現在すでにこれはICRPの勧告の中にもとりあげられ,その防護が注意されている。そこで,この意味をも含めて私達は今回,放射線治療時における防護義眼を作成し,臨床的に使用する機会を得たので報告しようと思う。
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