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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科15巻4号

1961年04月発行

文献概要

特集 第14回臨床眼科学会号(3)

眼疾患と線維素溶解酵素について

著者: 植村恭夫1 秋谷忍1

所属機関: 1慶大眼科

ページ範囲:P.500 - P.510

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緒言
 血液中に蛋白分解酵素として,特に血液凝固と密接な関係を有するものにThrombinとFibri—nolysin或はPlasminと呼ばれるものがある。18世紀の終りから19世紀の始めにかけてDastre,Noff,Morawitz氏等により,血液を無菌的に凝固させた時に得られた線維素塊が細菌の汚染なし面への応用の試みと共に,線維素溶解酵素系に於ける異常が,生体の種々の病的状態と深い関係を有することが漸次明らかにされて来た。即ち,白血病,再生不良性貧血等の出血傾向に於けるPlas—minの役割,更に動脈硬化進展の要因としてのPlasminの役割,アレルギー,アナフィラキシーの発現機序に対するPlasminの役割等についても次々と研究が進められ,これによつて線維素溶解酵素系のもつ意義は,当初想像されていたものより遙かに大であることが明らかにされるに至つた。
 慶大医学部に於ては,はやくから生理学教室岡本氏等を中心とし,基礎,臨床各科に亘りPlas—min研究班(班長植村操教授)を組織し,活溌な研究を行つている。著者等もその一環として眼科に再び流動性となり,これにThrombin或はCaを加えても決して凝固しないという現象が起ることが報告され,この現象を線維素溶解現象(Fibri—nolysis)と呼ばれた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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