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特集 第14回臨床眼科学会号(3)
Diamoxの糖代謝に及ぼす影響について—加圧E.R.G.を中心として
著者: 大岡良子1 坂上道夫1 河合俊子1
所属機関: 1東邦大眼科
ページ範囲:P.511 - P.515
文献購入ページに移動炭酸脱水酵素阻害剤として脚光を浴びたAcetazoleamide (Diamox)は,Becker氏が1954年に始めて緑内障治療に用いて以来,重要な対緑内障薬剤の一つとなつた。他面Diamox使用の根拠はKinsey氏の家兎房水中重炭酸塩の占める役割並びにFriedenwald氏と共に唱えた房水生成に関する分泌拡散の仮説に根差している。先に発表した家兎房水に於ける実験に於いても房水pHは血液に比し高く,(人間では低い)その原因をHenderson—Hasselbalch氏理論に従う緩衝系としての房水中重炭酸イオンに求めることが出来た。併しDiamox局所投与による酵素阻害は眼圧下降を起さず,従つてBecker氏が当初に考えた作用機序はその趣を異にしてきた。
即ちDuke-Elder,Langham (1956),楠部(1955),古瀬(1958),山本(1958)氏等はBecker氏説を否定し,Langham,古瀬氏等は血液,房水の各種電解質濃度の変動を考えており,又山本氏はTricarboxylic acid (T. C. A.) cycleに対するDiamoxの作用は無関係で,眼圧下降機転は体液滲透圧変動による体液水分勾配の変動が重要な因子なのではないかと推論している。
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