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文献概要
日本トラホーム予防協会会誌
Trachomaの病原とそれに伴える細胞の変化についての補遺
著者: 越智貞見1
所属機関: 1北大
ページ範囲:P.9 - P.15
文献購入ページに移動 従来我々がTrachoma患者から採つた結膜の塗抹標本を臨牀上の参考に供するとなれば,概ねProwazek氏小体の有無が,その重なるものであつた。然し私は此外にTrachomaの病原に関係すべき数々の所見を,その塗抹標本に於て認めていたが為に,さきに私が比較的多く遭遇したる所見を,一応取り纒めて,之をTrachomaの診断上の参考にまで,臨床眼科第14巻第10号(昭和35年10月)に発表して置いた。而してTrachomaの病原として私の見る処の糸状菌をOphthalmo—myces trachomatis或は之を簡単にTracho—mycesと呼ぶこととし,又それが培養可能のものである旨をも附け加えて置いた。
然し今日Trachomaの病原として一部にはVirus説の唱えられている此時に当つて,私が一種の糸状菌を,その病原として提唱することは余りにも大なる見解上の相違であるが如くに思われる。然しながら私の見る所では,その間に在つて其処に何等の矛盾を来たさないのであつた。即ち一方に於て糸状菌なる形態のものとして,それが相当に大型のものであつたとしても,他方に於て,その構成要素なる胞子(Sporen)の如きに至つては,小型のものであり,又其中でも特に微小なるものに至つては,真に濾過性であるからである。
然し今日Trachomaの病原として一部にはVirus説の唱えられている此時に当つて,私が一種の糸状菌を,その病原として提唱することは余りにも大なる見解上の相違であるが如くに思われる。然しながら私の見る所では,その間に在つて其処に何等の矛盾を来たさないのであつた。即ち一方に於て糸状菌なる形態のものとして,それが相当に大型のものであつたとしても,他方に於て,その構成要素なる胞子(Sporen)の如きに至つては,小型のものであり,又其中でも特に微小なるものに至つては,真に濾過性であるからである。
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