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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科15巻7号

1961年07月発行

文献概要

綜説

弱視とその治療

著者: 赤木五郎1

所属機関: 1岡山大学医学部眼科教室

ページ範囲:P.789 - P.794

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まえがき
 私がここに弱視と呼んで居るものは,眼に,何等の病変も認められないに拘らず,視力が低下しているものや眼に何等かの器質的変化があつても,それに相当するよりも強い視力障碍を訴えるものを指している。従つて,眼鏡で充分な視力が得られる近視や乱視などは,弱視の内に入らない。又視力低下に相当するだけの強い病変が明らかに認められる色々の眼疾患は勿論のこと,所謂中毒弱視や脚気弱視の類も,この内には含まれていない。
 この様な弱視が,どの様な原因で起るのかと云う点は,未だよく判つていないが,従来,日本では,弱視は先天的な欠陥によるものであつて,色盲と同様に,不治の疾患であると考えていた人が多く,そのために,弱視の治療は殆んど顧みられないで放置された様である。所が欧米では,弱視を治さうとする努力は,既に18世紀頃から,沢山の人々によつて払われている。その結果,今日では,可成りの成果を挙げると共に,「弱視は治し得るものだ」と云うことが一般の常識となつている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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