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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科16巻1号

1962年01月発行

文献概要

臨床実験

Nylidrin hydrochloride (Verina)注射液の網膜血管に及ぼす影響に就て

著者: 三国政吉1 早津尚夫1

所属機関: 1新潟大学眼科教室

ページ範囲:P.75 - P.80

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I.緒言
 Nylidrin hydrochlorideはKulz & Sch—neider (1950)によつて合成されたEpinephrine—ephedrine系の化合物で,著明な血管拡張作用があつて身体末梢筋肉部分の血液循環量を増大する作用があるという。従来,間歇性跛行症,Raynaud氏病,貧血による夜間痛のような末梢血管疾患の治療に用いられて来たものであるが,本剤が末梢筋血管のみならず脳血管をも拡張させ得ることを示唆したのはJacobson & Basar (1956)であつて,彼等は正常人についてElectroretino—gramで検査し,本剤によるB波の変動から脳血流量の増加を推測している。その後Winsor etal (1960)は家兎を用いて内頸動脈血流量を測定し,Eisenberg et al (1960)は人においてKety氏法により脳血流量を測定した結果この増大することを報告し,前者は更に脳血管不全の治療経験について言及している。又,Rubin &Anderson (1958)は内耳循環障害に本剤を使用し,有効であつたと述べている。
 この度私共は藤沢薬品工業株式会社からU.S.Vitamin Corporation製のNylidrin hydro—chlorideの提供を受けて使用実験する機会を得たが,興味ある成績が得られたので取り敢えず,その一部をここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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