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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科16巻1号

1962年01月発行

文献概要

臨床実験

P.V.P.—JODの点眼薬について

著者: 桑原安治1 太田安雄1 山田益城1

所属機関: 1東京医大眼科 2東京医大薬局

ページ範囲:P.93 - P.97

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I.緒言
 沃素が創面に対して効果のある殺菌剤である事は100年前に既に報告された。以来,現在まで引続き使用され甚だ有用な医薬品である事が認められている。沃素が殺菌の他に各種のカビ類に高度の殺カビ効果のある事は既に衆知の事であるが,一方,殺ウィルス性についても最近広範囲な研究が行われ,沃素で作用されるウイルスにはVacci—na rabies,Herpes simplex,Trachoma myxo—ma,他Influenza及びNewcastle病のウイルスにも効果のある事が認められている。Gershen—feldは低濃度の沃素が小児麻痺ウイルスに強く作用する事を認めた。沃素はこの様に優れた効果があるが,しかし乍ら,沃素を殺菌薬として直ちに臨床的に使用するに際しては2,3の問題がある。沃素は不安定であつて水に不溶性である。臨床的に応用し得る溶液にするためには,アルコールとか沃素の塩を使用するよりほかに方法がなく,この為に溶液は刺激性に富み,種々の局所の障害を引き起す。しかも水溶液にすると沃素の殺菌力は弱まる。この様な欠点を除くため最近,沃素の殺菌力を減弱せしめる事なく,不愉快な副作用を除く物質が研究され,その溶剤としてポリビニールピロリドン(P.V.P.)が挙げられた。P.V.P.溶液は既に代用血漿又は解毒剤として広く各領域に利用され,その効果も臨床上甚だ有用なものとして一般に認められている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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