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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科16巻12号

1962年12月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・89

網膜黄斑部変性症

著者: 内田幸男 ,   遠藤公美子

ページ範囲:P.1201 - P.1202

解説
症例:17歳男
初診:昭和37年5月29日

綜説

眼部の接写法について—(眼部撮影法,その2)

著者: 朝岡力

ページ範囲:P.1203 - P.1218

1.緒言
 眼の接写法といつても原理的には一般医学や生物学のそれと同じことであるが,眼そのものが極めて小さいうえに,角膜,水晶体,硝子体,網膜等の病変は繊細であるためと,その組織の特殊構造のために,従来,写真撮影は極めて不満足な状態に限定されて居つた。しかし,最近における写真技術の発達と共に,その撮影法の工夫によつて,従来不可能だつた撮影が可能となりつつあることは,前報における「細隙光による眼の撮影法」に於ても見られる如くである。
 眼の接写についても同様で,やはり一般の方法を熟知した上で特殊の工夫を用いて,はじめてよい写真ができることは言うまでもない。この意味で,筆者は以下に接写法の一般的技術,発展を紹介しながら本法の詳細について述べてみたい。

臨床実験

眼球突出の統計的考察

著者: 小原実 ,   黒住格 ,   山本節

ページ範囲:P.1219 - P.1223

I.緒言
 眼球突出は種々の原因により起つて来るので,眼科医のみならず,他の臨床医にとつても興味ある問題を含んでいる。眼球突出の原因を見つけることは容易ではないが,視力更には生命さえも脅かすことがあるから,速かに診断を下し,適切な処置をすることが望まれる。
 著者は,昭和31年から昭和35年迄の5年間に,神戸医大眼科外来を訪れた患者の眼球突出症例について分類観察し,興味ある結果を得たので,ここに報告する。

コンタクトレンズと二重眼瞼

著者: 秋山晃一郎 ,   秋山明基

ページ範囲:P.1225 - P.1231

故佐藤勉教授1)は,その著書『コンタクトレンズ』の中で,美容を目的とするコンタクトレンズについて,次のように述べられた。『コンタクトレンズは,角膜前面にかぶさっている為に角膜或いは,前眼部,透光体,及び虹彩などの美容上の欠点を,隠してしまう事が出来る。角膜白斑,虹彩異色,白子眼,種々の原因による虹彩変色,無虹彩,手術の適応とならぬ白内障などに,カラーレンズを,用いる事によって,容貌上の欠陥を解決する事が出来る』と。しかしながらこれは容貌上の欠陥を有する者に対する美容を目的としたものであつて,あくまで欠陥を隠すと言う事が主目的である。然らば若しそのような欠陥がなく,ただ届折異常のみを有する健康な眼に対しては,コンタクトレンズは美容的に,果して如何なる影響を与えるものであろうか?
 コンタクトレンズを装用した為に眼鏡から解放された患者,特に若い女性が見違えるように発溂とした美しさを発揮する情景に驚かされる事は,コンタクトレンズを取扱っている眼科医にとっては,別に珍しい事ではない。その理由として次の様な事をあげる事が出来ると思う。

日本人の網膜芽細胞腫に於けるロゼット形成の頻度

著者: 塚原勇

ページ範囲:P.1233 - P.1235

I.緒言
 著者は,数年前に,コロムビア大学のInstituteof Ophthalmology of Presbyterian Hospitalにある米国人の網膜芽細胞腫Retinoblastomaの標本の中から,その一部150例について病理組織標本を見る機会があつた1)。その後,教室にある同疾患の標本を見ているうちに,日本人の網膜芽細胞腫ではロゼット形成の頻度が低いのではないかという印象をもつようになつた。そこで,主として昭和25年以降の教室の材料についてロゼット形成をしらべて,彼の国の材料と比較してみた。それは,同じ著者が,異つた国,異つた民族に於ける材料と,自国の材料とを同じ観点にたつて観察比較する機会は少ないと思われるし,又,興味のある事とも思えたからである。

中心性脈絡網膜炎におけるNylidrin hydrochloride (Verina)の使用経験

著者: 早津尚夫

ページ範囲:P.1237 - P.1243

I.緒言
 わが国でいう中心性脈絡網膜炎と西洋のそれとが同一疾患であるか否かに就ては議論のあるところであるが,本症に対し血管拡張剤が有効に作用することに就てはかなり以前から西洋の文献に散見される。わが国に於ても,Kallikrein (Bayer)をはじめとして,クライスリン(三笠製薬),Ci—rculetin (帝国臓器),Cardinon (武田),Lac—arnol (Hoechst),Carnigen (Hoechst)等循環系ホルモンの他,Imidalin (山之内),ニコチン酸等各種の血管拡張剤が本症治療に用いられて有効に作用したことが報告されている。
 Nylidrin hydrochloride (Verina)はKulz & Schneider (1950)により合成されたepine—phrine-ephedrine系の血管拡張剤であるが,本剤が網膜血管を拡張し,網膜血流量を増加させる作用のあることは既に私共の再三報告したところである。

流行性角結膜炎に対する強力ネオミノファーゲンCの治療効果について

著者: 笠井喜代子

ページ範囲:P.1245 - P.1248

 従来強力ネオミノファーゲンC (以下S,N.M,C.と略記す)の抗アレルギー作用は基礎的に臨床的に抗アレルギー剤として広く知られております。特に眼科領域に於ては特にフリクテン,アレルギー性眼瞼緑炎,眼瞼結膜炎,虹彩炎,虹彩毛様体炎,虹彩鞏膜角膜炎,上鞏膜炎,中心性網膜炎,急性球後視束炎,癩性眼疾患等に使用されいずれも有効との報告があります。
 しかしながらSNMCの作用は抗アレルギー性作用の他に水分電解質の代謝調節,尿,保護膠質の増強作用,炎症抑制作用,結核アレルギー抑制作用,組織呼吸減弱回復作用,副腎皮質機能の調節,解毒利尿の諸作用もあるといわれております。

第15回臨床眼科学会 研究グループ・ディスカッション(8)

緑内障

著者: 岸本正雄 ,   中谷一 ,   西山義一 ,   太根節直 ,   上野一也 ,   荻野紀重 ,   高久功 ,   秋谷忍 ,   湖崎弘 ,   田中直彦 ,   神足実 ,   島崎哲雄 ,   坂上道夫 ,   岸田明宜 ,   羽出山享 ,   小島克 ,   金子覚 ,   石田修 ,   阪本善明 ,   相沢芙束 ,   須田経宇

ページ範囲:P.1251 - P.1269

 座長(須田)これから皆さん方とお話し合いをするんですけれども,ざっくばらんに言いたいことを言う。
 それで,あんまり角をたてないようにひとつお願いします。そうして,きょうはじめてですから,何から始めていいかわかりませんけれども,現在早期診断ということが非常にやかましくなっておりまするからして,まず診断の部門から入っていきたいと思います。そうして,さらに時間がありますれば,治療の方,またさらにありますれば,基礎的の研究方面に入る。

談話室

ハーバード便り—ボストンにて

著者: 坂上道夫

ページ範囲:P.1271 - P.1272

 ボストンに参りまして約半年を経過致しました。漸くハーバード医学部に於ける研究の動向が判つて参りました。自由揺藍の地としてのボストンは又,教育文化の中心として静かに沈んだ処ですが,他にマサチュセッツ工科大学,ボストン大学を始めとして多くの大学及びカレッジがあり,アカデミックな雰囲気の中にニューイングランド特有の練瓦の建物が古都としての面目を示し,史蹟,戦蹟がその歴史を偲ばせて呉れています。小生,マサチュセッツ総会病院の脳神経外科(主任は疼痛の研究と生理・生化学の権威ウイリアム・スイート博士)に籍を置き,神経化学の研究室に学んで居ります。研究室主任は,アデルバート・エームス三世氏で,その父君に当る人は,アニサイコニアの発見者であり,彼自身も眼球をProtobrainと考えて,中枢神経化学を眼科的に研究しているユニークな存在と考えられます。エームス氏の主な業績は,電解質化学で,特に超微量定量法と,電解質移送に関連したE.R.G.,膜電位測定法に特色がみられます。即ち,具体的には電解質移送問頭を今日のトピックである膜透過現象から研究し,特に血液房水関門,血液網液関門についての実験を行つているわけです。

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フランス健康保険専門家医療の一般点数表(眼科)

ページ範囲:P.1273 - P.1275

本表は社会保険会議構成員であるフランス医師連合会の書記長であるP.A.Debuirre氏によつて註釈されたものである。右側掲載の数字は各項の点数を示す。①
 1点単価は1962.4にきいた処によると病院2.80NFクリニック3.60NFとの事。

眼科ニユース

ページ範囲:P.1277 - P.1277

人事消息
○加藤静一氏(信大教授)
 去る7月30日より,文部省在外研究員として欧州,インド,香港など各地の眼科を視察し10月31日無事帰国。
○上野賢一氏(九大眼科)
 九大医学部講師(兼任)に就任。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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