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特集 第15回日本臨床眼科学会講演集 (1)
学童近視の進行予防に対するリジン・スレオニンの効果
著者: 松下和夫1 坪田芊子1 谷美子1 和田秀明1 陶山喜久子1
所属機関: 1大阪市交通局病院眼科
ページ範囲:P.167 - P.180
文献購入ページに移動近年,学童近視の増加は極めて著しく,さきに,これが治療として,低周波電流を応用し,ある程度の好成績を収めることが出来た1)2)3)。かくして,多数の近視,とくに学童近視の患者に接しているうちに,これらの中には,偏食の強い患者が甚だ多いことに気がついた。たとえば,兄弟が正視で,その子のみが近視の場合,その子の偏食が強く,逆に,兄弟が近視で,その子のみが正視の場合は,兄弟が偏食しても,その子はしないというような例を度々経験した。そこで,学童近視患者の偏食調査を試みたのであるが,大体の傾向として,獣鳥肉類,魚介類などの嫌いな者が多いように思われたものの,自覚的調査の性質上,どこまで信悪性を置き得るかは問題であつた。ただ,とくに注目に値したのは,偏食者は,結局,副食物の摂取が少なくなり,その結果,主食としての米食,またはパン食を過食する傾向のうかがわれたことで,この傾向は,ある程度まで事実と考えられたのである。
一方,省みれば,第2次大戦中,ならびに戦後,一旦減少していた近視が再び増加しはじめたのは,昭和25年頃からで,高校生の近視の如きは,5年後の昭和30年には,25年に比べて,実に2倍にも達したのである。
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