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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科16巻3号

1962年03月発行

雑誌目次

特集 第15回臨床眼科学会号(2)

眼筋無力症の筋電図

著者: 石川哲

ページ範囲:P.253 - P.254

 筋無力症(Myasthenia)の眼筋に対する筋電図学的研究はこんにちまで10人前後の報告があるが,多くは症例数が少なく,まだ未解決な問題が幾多存在している.私は,過去2年半の間に眼筋無力症13例を筋電図により検査を行なつたが,そのねらいとしたところは.
 ①Waning Signの有無,とくにそれを単一NMUを中心に求め,放電分析を行なう。

視野疲労現象とレギチンテスト

著者: 古味敏彦 ,   内田幸子

ページ範囲:P.255 - P.258

Ⅰ.緒言
 交感神経遮断剤であるRegitin (Ciba)は抗アドレナリン作用が強いのでpheochromocytomaの診断に用いられていますが,私どもはRegitinを体重kg当り0.1mg静注して6分以内の血圧の降下を各疾患および正常者について調べましたところ,とくに網膜色素変性患者において,拡張期血圧の低下が著明であることを発見しました。
 このRegitin静注による拡張期血圧の降下量(mmHg)を,静注直前の拡張期血圧(mmHg)で除して100をかけたものをRT値(%)としますと,網膜色素変性患者では大部分が持続的に25%以上の値を維持することがわかりました。しかし,診断方法としては,同中一患者について,このテストを2回以上くりかえして行うことは,わずらわしいことでありますから,眼底,暗順応などの所見から十分に網膜色素変性が疑われる場合におきましては,ただ1回の測定でも,30%をこえる場合には陽性といたしました。そこでつぎのような判定規準を定めました。

眼精疲労における眼圧の様態(須田氏法を中心として)

著者: 小嶋克 ,   杉田雄一郎 ,   渡辺郁緒 ,   新美勝彦 ,   吉田則明 ,   桐渕惟義 ,   桜井恒良

ページ範囲:P.259 - P.268

Ⅰ.緒言
 眼痛,頭痛,目の疲労,羞明などのいわゆる眼精疲労様症状を訴える患者で,種々外来検査を行なつても,それらの訴えの原因をつかむことがはなはだ困難なことはわれわれが日常経験するところである。文献的な分類すなわち症候性,調節性,屈折性,筋性,不等像視性などの分類があるが,われわれはここではとくに眼圧との関係を求めて,眼精疲労と緑内障,あるいは緑内障前期との関係を調べ,一方では緑内障の早期発見という目的で本検査を行なつた。

耳下腺排出管結膜嚢内移植後の結膜嚢内分泌物所見

著者: 今泉亀撤 ,   新津重章 ,   高橋文郎 ,   三浦俊一

ページ範囲:P.269 - P.276

Ⅰ.緒言
 眼球乾燥症に対する耳下腺排出管の結膜嚢内移植術をわが国に初めて紹介したのは神谷貞義氏1)であり,同氏らの十分な動物実験と死体解剖とにもとついて確立された手術術式ならびにその症例の発表は貴重である。われわれも眼天疱瘡によつて頑固な眼球乾燥症をきたした12才の少年の両眼に神谷氏らの術式にもとづいて,多少改良しつつ本移植術を行なつたのでその経験を報告し,あわせて手術前後の耳下腺分泌液の量ならびに成分を調査比較したので,その成績をものべる。

中心性網膜炎に関する臨床的研究,とくにその全身毛細血管透過性について

著者: 松井瑞夫 ,   河本道次 ,   衛藤契古

ページ範囲:P.277 - P.277

 漿液性中心性脈絡網膜炎の病型を有する症例につき,病期の進展にしたがい,陰圧法による毛細血管抵抗性試験と畔柳氏の血清の毛細血管透過性亢進作用(CapillaryPermeability Promoting Action, CPP作用)の測定とを行なつた。
 その結果,本症患者の発病後比較的早期の症例では,血清のCPP作用陽性のものが多く,治療例および陳旧例では,CPP作用陰性のものが大部分であつた。経過を追つて反覆して検査した症例では,発病後2〜4カ月で,CPP作用が陰性になることが,すべての症例に共通してみられた。また,CPP作用がもつとも強く出現するのが,発病後約1カ月後である症例もみられた。

Diurexの眼圧下降効果について

著者: 須田経宇 ,   大坪正美 ,   沢田惇 ,   武藤宏一郎 ,   若江清子 ,   井上洋一

ページ範囲:P.279 - P.284

Ⅰ.緒論
 Becker (1954)が炭酸脱水酵素阻害剤の一種であるAcetazolamide (Diamox)を緑内障の治療に使用して以来,眼圧下降剤として炭酸脱水酵素阻害剤が脚光をおびて来,その後,Dichlorphenamide(Daranide),Methazolamide (Neptazane),Ethox—zolamide (Cardrase),Nirexonなどができてきた。しかし,長期連用による体液電解質バランスの乱れ,薬剤耐性の出現,その他不快な副作用のため,投与回数が少なく,副作用のない強力な炭酸脱水酵素阻害剤出現のために研究が進められている。Drance1)(1960)はDisalide (5—Chloro−2,4—disul—phamyl-toluene)の人眼眼圧に対する効果についてのべている。本剤は前述の欠点の少ない優秀な炭酸脱水酵素阻害剤とされており,わが国においてもDiurexなる商品名で発売され,各方面での報告があり,飯塚ら2)が本剤の緑内障に対する効果について発表している。本教室の徳田3)はDiurexの網膜下液の排出に対する効果をすでに報告したが,私どもは本剤の眼圧に対する効果を動物実験を行なつて検討し,さらに緑内障について観察した。

網膜色素変性症の成因と治療—Ⅷ.カタリンの長期使用による網膜色素変性症の冶療成績

著者: 桜井大成 ,   水野勝義 ,   上杉もと

ページ範囲:P.285 - P.291

 われわれが,水野のカテコールアミン代謝異常説1)2)にもとづいて,カタリン(C)による網膜色素変性症の治療を開始してから約3年になるが,今回は比較的長期間(1年半ないし3年間)治療を継続した20名について,その治療成績を一括して報告する。

眼底疾患に対するATPの使用経験

著者: 樋渡正五 ,   大戸建 ,   斎藤紀美子

ページ範囲:P.293 - P.296

 1928年LohmannによりATPが筋肉内に生理的に多量に存在し,かつ筋活動のエネルギー源となることが知られて以来幾多の発表が相ついでいる。すなわち眼科以外では,1)脳神経疾患には脳血流量の増加による組織呼吸,脳葡萄糖消費の促進に,2)筋肉疾患には直接筋肉のエネルギー源となり,罹病筋の燐酸系の賦活に,3)循環器疾患には血圧降下と血管拡張作用により,4)新陳代謝系疾患には血糖降下作用を示し,5)その他肝腎疾患などにも広く応用されるにいたつた。
 眼科領域では眼精疲労および調節衰弱筋に対して村山,正田,人野田,久保木らが,外眼筋麻痺に対しては桑原,伊藤,中尾らが有効なことを報告し,角膜疾患には水川,山田らが有効なことをのべている。眼底疾患では伊藤の多発性硬化に対する使用報告,服部の視束萎縮,網膜出血に対する経験,山根の中心性網脈絡膜炎,網膜色素変性症その他に対する症例報告があり,また牧内の眼球鉄銹症えの効力がのべられたほか,実験的には山根が家兎に対してATPとV.B1の併用投与によるERGのb・c波えの影響を,小島らはATP結膜下注射による網膜のPAS反応,酸性アルカリ性フォスファターゼやコハク酸脱水素酵素などの消長を報告している。

Fibrinolysinの眼科的応用

著者: 三国政吉 ,   木村重男 ,   大野恭信 ,   新保信夫

ページ範囲:P.297 - P.303

 Dastre (1893)が試験管内で凝固した血液が自然に溶解することを発見し,MacFarlane (1946)がこの線維素溶解にあずかる蛋白分解酵素をPlasminと名づけて,血液の線維素溶解現象の基本概念を体系づけて以来,線維素溶解酵素に関する研究が盛んに行なわれるようになつた。一方では線維素溶解現象の生理的または病的状態における役割を解明し,他方では線維素溶解酵素を治療に応用するこころみがなされ,すでに多数の報告がある。
 私どもはさきに日本メルクから提供されたPlas—rnin製剤のFibrinolysin Human Lyovacを網膜静脈血栓症に使用して有効な成績のえられたことを報告したが,今回は本剤を網膜動脈塞栓症1例に点滴静注し,また局所応用として諸種出血性眼疾患20例に結膜下注射を行なつたのでその成績についてのべる。

Behcet氏病その他の疾患における家兎赤血球凝集反応・その診断的意義

著者: 氏原弘 ,   小暮美津子

ページ範囲:P.305 - P.308

Ⅰ.緒論
 Behget氏病の本態については近年多くの研究が行なわれており,徐々ではあるが,その全容が明るみに出されつつある。これらの研究は主として臨床的,病理組織学的,細菌学的および血清学的の四方面にわたつているが,多くの研究者の一致した見解はBehcet氏病が膠原病性の性状を有することと特有の反応亢進状態にあることであろう。この反応亢進が血清学的に非特異的とみなされる多くの事実,たとえば各種の細菌ワクチンによつて同じように強く皮内反応を示し,時には炎症を誘発されることなどは本症の血清学的性状が従来のアレルギーの概念をもつてしては律し切れないものであるごとき感を抱かしめる。
 Behcet氏病のかかる血清学的性状の機構を明らかにしうれば,本症の本態究明曳いては治療という問題もよほど前進するであろう。本実験はその第一段階としてBehcet氏病に対する特異抗体を探究するため行なわれたのであるが,意外な事実をうることができたので報告する。

最近の角膜移植の臨床成績および2,3の試みについて

著者: 中島章 ,   加藤和男 ,   羽出山昭

ページ範囲:P.311 - P.317

Ⅰ.緒言
 角膜移植は1818年Reisingerが初めて動物で成功したが,人眼では1906年zirumが角膜白斑に移植を行なつて成功したのを初めとしてElsch—nigは10カ月に130例,1932年にFilatovは400例,Castroviejoは200例という多数の臨床例を報告している。本邦でも古くから検討されていたが1941年ごろから動物実験や臨床的応用が行なわれるようになり,臨床的な報告としては中村氏,赤木氏,樋田氏,神鳥氏,桑原氏などの報告があるが,角膜入手困難と相まつてなお十分に広く行なわれていないようである。
 最近(1958年〜1961年)当教室で行なつた全層角膜移植42例,部分層移植6例,総計48例についてその臨床成績をのべ,われわれがこころみた2,3の新しい方法とDr.Kingより寄贈された保存角膜による角膜移植と術後治療法の経験についてのべご参考に供したいと思う。

人工角膜移植について

著者: 早野三郎

ページ範囲:P.319 - P.323

Ⅰ.緒言
 人工角膜移植とは混濁角膜を切除して同部に透明な無生物有機物を固着せしめて復明をはかろうとするものである。このような方法については1771年すでにPaliier de Quengsyによつて考えられていたといわれるが,動物あるいは人の眼にこころみられたのは19世紀となつてからである。すなわちWeber (1817), Stilling (1833), Nus—sbaum (1853), Hippel (1877)らは水晶を, Heusser(1860),Salzer (1900), Filatov (1900)らはガラスを,Dimmer (1891)はセルロイドを高橋は亀甲を用いて行なつている。これらのほとんどが短期間のうちに脱落している中でWeberの例は6カ月,Salzerの例は23/4年もの間角膜内に保持されたのは注目すべきである。最近合成樹脂化学の発達と人工臓器についての関心は,合成樹脂のあるものが生体組織に与える影響のきわめて少ないことが知られるようになり,各方面で一部組織を人工組織で代用するこころみがなされ成功している面もある。

鞏膜下ジアテルミー(鞏膜短縮併用)による網膜剥離手術映画供覧

著者: 三井幸彦

ページ範囲:P.323 - P.323

 鞏膜下ジアテルミー法の術式を映画によつて解説した.鞏膜をとおしてジアテルミーで焼くことは,生体に対する侵襲がきわめて大きい。鞏膜下に焼くことのほうがはるかに侵襲が少ない。火傷の侵襲は切傷の侵襲よりはるかに強いからである。鞏膜下(subscleral)ジアテルミーを行つて2カ月後に局所を開いてみると,鞏膜は手術前よりがえつて強固に厚くなつている。ふたたびその部を開いて糸をかけてみても,組織はいたんでいない。鞏膜をとおして(diascleral)ジアテルミーで焼いた所を2カ月後に開いてみると,鞏膜組織はボロボロになつており,ピンセットでつまんだだけでもちぎれてしまう。糸をかけても組織が破れて切れてしまう。
 鞏膜を全周の1/3切開し短縮することは,視機能になんら悪い影響はない。若年者高度近視の人に水晶体全摘出をする予備手術としてこれを常用しているが,視野の大きさや視力に悪い影響を与えたことはない。

血族結婚家系にあらわれた2例の先天性鎌状網膜剥離ならびに2例の眼先天異常

著者: 升田義次

ページ範囲:P.325 - P.331

 先天性鎌状網膜剥離Ablatio falciformis conge—nita (Weve)1)2)あるいは先天性網膜襞Congenitalretinal fold (Mann)3)4)については現在までに多数の報告がある。最近,私は,先天性鎌状網膜剥離(以下A・F・C.)と診断された2例および眼先天異常を有する2例,計4例の出現した一家系をみつけ,さらにそのA・F・C.の1例に硝子体出血の併発をみたのでここに報告する。

悪性網膜剥離の治験例

著者: 浅山亮二 ,   岸本正雄 ,   塚原勇 ,   坂上英

ページ範囲:P.333 - P.343

 網膜剥離の眼底所見や症状は,誠に多様であり,これに対してすべての症例に万能であるという標準の手術術式はない。対象が視機能と直接に関係のある網膜であり,手術侵襲はこれを損傷することをできるだけ少ないものを選び,しかも,剥離を治癒せしめるのに十分な手術をためらうことなく初回手術時に行なわなければならない。ディアテルミー凝固法は,剥離網膜の復位手術に大きな貢献をしてきたが,その後の鞏膜切除術Scleral resection,鞏膜締結術Scleral bucklingの発展は,ディアテルミー凝固法で治癒せしめえぬ重症例をも救い,治癒成績を一段と向上せしめた。現在では,われわれは,もつばらディアテルミー凝固法のみに依存していたころと異なり,種々の術式をもつている。したがつて,各症例ごとにもつとも適した術式を選択施行することが多く,網膜剥離の復位手術は,一段と多彩なものとなつてきている。
 本稿では,われわれが最近取扱つた重症例に対する術式を,2,3の症例を付しつつ記述したい。

実験的外傷性白内障の治癒機構

著者: 増田茂 ,   満川顕一

ページ範囲:P.343 - P.346

Ⅰ.緒言
 打撲白内障,菊座白内障では自然治癒例が比較的多く報告されている。穿孔性外傷性白内障でもまれながら自然治癒例が報告されている。私どもは家兎で穿孔性外傷性白内障をおこし,その治癒例の組織学的検査を行なつたので報告する。

原爆白内障の進行性について

著者: 増田義哉

ページ範囲:P.346 - P.351

Ⅰ.まえがき
 原爆白内障に関する問題は,その進行性の有無,老人性白内障発生との関連性,さらに実験的放射能性白内障,とくに中性子白内障などの研究の方面に残されていることをのべたのであるが1),今回,経過年数1.5〜9年の間における,原爆白内障混濁の推移を調査研究することができたので,その経過を報告する。

銀海余滴

眼鏡レンズの規格について

著者: 桐沢長徳

ページ範囲:P.303 - P.303

 視力をはかる試験レンズや視力表の規格について,筆者は1年前に本誌(15巻1号)でのべたことがある。
 そのさい,眼鏡レンズに対しても多少ふれたが,最近,眼鏡レンズの規格が誤つた(少なくとも非実用的な)規格で律せられていたことがわかり,驚いた次第である。実は昨年,筆者らが主唱して,優良レンズの「推薦」でも眼科医会または学会が行なうようにしてはどうかと思い,数人の方々とともに準備委員会のようなものを開いたことがあつた。その席で,東大物理の小穴教授から「暮しの手帖」にのつた「眼鏡中—その盲点」という文章をみせられたが,十分に検討する時間がなく,いずれ眼科のほうでも考えたい,といつて将来の協力を約して別れた。

臨床実験

簡易な新緑内障負荷試験—頸部圧迫時マ氏盲点拡大試験について(大橋教授開講15周年記念論文)

著者: 太根節直 ,   常松美登里子

ページ範囲:P.353 - P.357

Ⅰ.はじめに
 臨床上で賞用するにだる緑内障負荷試験の条件としては,(1)鋭敏で検出率が高く,早期診断に役だつこと,(2)安全で,かつ患者に苦痛を与えることが少ないこと,(3)簡易に施行しうること……などがあげられると思う。著者はすでに頸部圧迫時の眼圧上昇度が早期診断に役だつことを報告(日眼62巻,2347頁,昭33年)したが,今回はさらにこの頸部圧迫時にマリオット氏盲点が緑内障患者で早期から顕著な拡大をきたすことを認め,そのさいの葡萄膜・網膜血管の態度を検討し,上記の3条件を満たす新しい早期診断法として利用しうると考えたので,ここに大要を記し,大橋教授御開講15周年の記念にさせていただくことにした。

各種眼疾患に対するBTMP中大量療法の経験

著者: 山本由記雄 ,   馬場みつ ,   加藤美智子 ,   吉川浩子 ,   樋川豊子 ,   石崎百合子

ページ範囲:P.359 - P.363

 ビタミンB1塩酸塩の大量経口投与が,わずか5〜10mgを腸壁よりの吸収の頂点として,残余は糞便中よりの体外放出に終つてしまい,この企図は非経口投与による以外成功せず,この方法では体内貯溜時間が短いという点が欠点であり,ビタミンB1は治療薬としては傍役的存在であるにすぎなかつた。これを主役的位置に引き上げたのがS-Benzoylthiamine O-Monophosphate (BTMP)の出現である。すなわち,従来のVB1剤に比べて毒性は低く,アノイリナーゼに抵抗性をもち,吸収容易にして活性型のコカルボキシラーゼに転換されやすい点,無臭である点,経口投与量に比例した体液内B1濃度上昇が可能である点などの利点を示すビオタミンがこれである。私どもは三共KKより1g中にビタミンB1塩酸塩に換算して100mg含有するBTMPの製剤ビオタミン10倍散の提供を受け,各種眼疾患に投与を行ない,良好な成績をえたので報告する。

談話室

眼鏡レンズの規格

著者: 大島祐之

ページ範囲:P.365 - P.368

 最近,眼鏡レンズの規格ができたと人伝てに聞いて,結構なことだと思つていた。ところが,その規格ができたばつかりに,眼鏡レンズのメーカーが困惑しているという話を耳にした。実は私,不勉強でそのメガネ規格の内容を知らなかつたのであるが,よく調べてみると,暮しの手帖(52号,昭和34年12月)の記事に端を発したらしい。それまでほとんど知られていなかつたメガネの規格が紹介されたのであつた。その規格は正式にいえば,日本工業規格JIS S 4009-1954"輸出眼鏡類"という名称で,眼鏡レンズの頂点屈折力の許容差を一率に±0.06Dと規定していた。すなわち,レンズの強弱を問わず,表中示の度から0.06D以上違つてはいけないというのである。
 このJIS制定のいきさつを私は全然知らないが,このJISの存在をメガネ関係の業者の大部分が,暮しの手帖の記事が出るまでは知らなかつたというのは不思議である。JISの制定には原則として業者代表が参与するからである。"輸出品"という点が盲点だつたのかもしれない。

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眼科ニユース

ページ範囲:P.369 - P.369

人事消息
○大熊篤二氏(横浜市大教授)
同附属病院長に併任
○藤山英寿氏(北大教授)
同附属病院長に併任

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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