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特集 第15回臨床眼科学会号(3)
酵素断帯法(Enzymatic Zonulolysis)に関する2,3の検討
著者: 高久功1 福士克1 関口邦夫1 阿部信博1 渡辺春樹1 石垣あい1 池田米繁1
所属機関: 1東北大学眼科教室
ページ範囲:P.407 - P.414
文献購入ページに移動白内障全摘出術(以下全摘と略す)そのものの価値の判断についてはいろいろな問題があるが,理想的な経過を辿つた場合を考えれば,嚢外摘出術(以下嚢外と略す)に比較して優れていることは明らかであり,諸外国及び我国においても白内障手術において全摘のしめる割合が増加している事実はこれを裏付けるものであろう。
しかし,全摘においては,尚検討を必要とする幾多の問題が残つている。殊にそのZinn小帯を離断する技術,及び水晶体を娩出する方法等全摘の中核をなすべき点に,尚結論的な方法論は確立されていない。従来の所謂機械的断帯法に対し,化学的,或は酵素的と呼ばれるべき断帯(溶帯)法がBarraquerにより唱えられたのは1958年1)であつた。彼はたまたまα—Chymotrypsin (以下Chtと略)が選択的にZinn小帯を強く溶解する作用を知り,手術時Chtを用いて断帯法を行い好成績を得た。この方法によるときは従来の方法に比して遙かに容易に全摘をなしうること,その適用範囲が,遙かに若年者迄及ぶこと,有害な副作用,合併症をみない事等は,彼はじめ多くの追試者により確立された。
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