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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科16巻5号

1962年05月発行

文献概要

手術

鼻科学から見た涙嚢炎の手術—涙嚢を篩骨洞に開くことについて

著者: 後藤敏郎1

所属機関: 1長崎大学医学部耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.635 - P.637

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 眼科と耳鼻科とが現在のように分離してしまつた状態でも,分離の困難な位置にあるものが涙嚢ではあるまいか。涙嚢は眼球の付属器官ではあるが,その排泄管に鼻腔構成の骨の間を通って下鼻道に開口している。鼻腔の方から見れば副鼻腔の位置に当る。
 鼻涙管は前頭洞の鼻前頭管と形の上からも発生学的にもよく似ている。それだけ,眼球の付属器官になつてはいるが,鼻腔からも切り離すことの出来ない器官でもある。従つて鼻科学の方でも副鼻腔の手術においては極めて稀にこの鼻涙管の損傷を起して涙嚢炎を起す例を経験するが,現在,その手術は専ら眼科に依頼しているし,将来も又そうあるものと思う。私がここに本文を書くのは,数年前に少数の経験からではあるが,涙嚢炎の手術では,涙嚢は摘出したり,鼻腔に吻合を作るよりも,篩骨洞へ開放することの方が,手術としては合理的でもあり,簡単な方法であることに気づいて,涙嚢を篩骨洞に開放する手術を報告したことがあるが,この方法が最近本学の眼科教室はじめ一部の眼科の方の追試を受けているので,この機会に一文を草して広く眼科の方々の追試をお願いし批判を待ちたいと思つたからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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