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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科16巻6号

1962年06月発行

文献概要

臨床実験

眼瞼副痘(眼瞼ワクチニア)のウイルス学的診断

著者: 小林俊策1

所属機関: 1山口医科大学眼科教室

ページ範囲:P.649 - P.652

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I.緒言
 眼瞼副痘というのは,痘苗製造用のワクチニアウイルス(vaccinia virus)が感染して生じた眼瞼皮膚の疾患である。元来,副痘とは種痘部の周囲にリンパ道を経て多数の小膿胞を生ずるものを指すのであつて,眼瞼副痘という名称は当を得たものといえない。眼瞼のワクチニアウイルス感染症であれば,眼瞼ワクチニア(vaccinia of thelid)と呼ぶのが適当であり,結膜,角膜のワクチニア性炎症であれば,それぞれワクチニア結膜炎(vaccinia conjunctivitis),ワクチニア角膜炎(vaccinia keratitis)と称すべきである。
 ふるく,Jennerが牛痘ウイルスをうえて,痘瘡に対する免疫を獲得する方法を発見した話はあまりにも有名である。その後,痘瘡ウイスルをウサギ,サルを継代して,ウシに馴化したと称するウイルスが種痘に用いられるようになつた。しかし,ウサギは痘瘡ウイルスに感受性が低く,ウサギを通してウシに馴化したという報告は再検討を要するようである。一方,いまつかわれている痘苗のウイルスは,すでに牛痘ウイルスともちがつた性質をもつている。とにかく,痘瘡ウイルス—痘苗のウイルス—牛痘ウイルスはいわば近親関係にあるが,いろいろな点から痘苗のウイルスをワクチニアウイルスとして別個の取扱いをする方が妥当なようである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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