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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科16巻6号

1962年06月発行

文献概要

臨床実験

瞼裂斑の観察

著者: 山本きの1

所属機関: 1日本大学医学部眼科教室

ページ範囲:P.663 - P.673

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I.緒言
 瞼裂斑に関する方邦文献は甚だ少なく,西山,長谷川の両氏による症例報告をみるに過ぎない。すなわち西山1)は組織学的検索の結果,硝子様変性した結合織線維と種々変形した弾性線維が,束縛線状にあるいは糸球状に集団をなしているのを認め,さらに角膜内縁に接するものが,外縁に接するものより出現頻度が多いと述べ,長谷川2)は5例の女子に急性瞼裂斑をみたと言い,これは瞼裂部に急速に硝子様変性が起つたときに現われる症状ではないかと記している。Fuchs3)によれば,瞼裂斑は10歳以下の小児には認められず,11〜20歳で7%,51〜60歳で97%,80歳以上では,100%にみられ,風と埃の多い地方では他にくらべて多く,かつ早期に出現する。まつ内側に現われ次に外側にもみとめられるようになり,時には角膜内に侵入する傾向を示すので,氏は翼状片の初期症状であると考えた。
 私は教室における翼状片の研究の一環として,瞼裂斑の出現率,性別出現率,色調,突出度および面積などについてしらべ,50症例以上について組織学的検索を行つのたで,ここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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