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臨床実験
隔日に視野の変動する緑内障の2例—第1報視野狭窄高度の末期緑内障の治療について
著者: 景山万里子1
所属機関: 1東京警察病院
ページ範囲:P.865 - P.868
文献購入ページに移動緑内障に於て視野の変化は重要な意義をもち,マリオット氏盲点の拡大,鼻側視野欠損等,緑内障の特長である視野狭窄の形状については,緑内障の病期の進行と共にこまかく分類されている。又緑内障の早期診断,治療の上にも,視野測定は必須の要件であることは改めて言う迄もない。
私は最近,かなり進行した緑内障の症例で,治療によつて眼圧下降し,順調に経過する様になつてから,突然隔日に視野の広い日と,狭い日を自覚する様になつた,異常経過を示す2例を経験した。その内1例は初診時,定型的な視野欠損を示し,他の1例は視力が悪く殆んど視野測定不能であつたものである。視野の広い日と狭い日の,48時間を周期とする眼圧変動と,視野狭窄変動との関係,更に全身的に上膊動脈血圧,脈膊,呼吸との関係,網膜中心動脈血圧と視野の関係,又眼圧全身血圧比,網膜動脈血圧比が視野に与える影響等,その原因について種々の探索を行つた。その他,血圧乃至眼圧を変動せしめる薬剤を用いて視野の変化するのを観察し,同時に種々の検査を行つて,血管性起原によると思われる視野狭窄の成因について考察した。これらの検査の結果から,眼圧を下降させると同時に視野を拡大させる事に重点をおき,この方法を年余に互り継続して行い良い経過をたどつている。現在迄,我が国に於ても,又世界の主なる文献に於ても,緑内障の視野欠損が隔日に変動したという報告はなく,この様な症例は興味あるものと思われる。
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