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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科17巻1号

1963年01月発行

文献概要

臨床実験

IDUによるヘルペス性角膜炎の治験

著者: 鬼怒川雄久1 葉田野博1 小熊勇1 渡辺のり子2

所属機関: 1東北大学眼科教室 2

ページ範囲:P.59 - P.63

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 単純ヘルペスHerpes simplexは成人の大多数にとっては,既に不顕性感染を経ているために病原的意義は少ないとされているが,これが角膜に発症せる場合は,その組織学的特徴から,自然治癒が少いのみでなく,反覆再発して樹枝状角膜炎などの形に進展し,その難治性と視力障害を残すことの多い点から,眼科医を悩ます疾患の1つである。
 殊に最近,各種眼疾患に対する無批判的な抗生物質や,特に副腎皮質ホルモンの局所使用の乱用によつて,本症の著明な増加,かつ悪性化の傾向が広く指摘されるに到つた。従来,本症に対して,ヂオニン,アトロピンの点眼,消炎剤の注射や内服,焼灼,沃度による腐蝕,更にサルファ剤や各種の抗生物質の局所及び全身投与,又異論の多いところであるが副腎皮質ホルモン剤,その他多くの治療法が試みられているが,何れも単なる対症療法であつたり,又二次的障害や合併症に対する処置にしかすぎない。例えばサルファ剤や抗生物質もヘルペスビールスへの効果の期待よりも,混合感染に対する治療であり,焼灼等もビールスを殺したとしても局所組織の損傷が大きくてすべての症例に対して用うるほどの効果は認あられていない。殊に頑症で合併症の強いものや,その再発に対しては殆ど無力であつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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