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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科17巻3号

1963年03月発行

文献概要

特集 第16回日本臨床眼科学会号(2) 一般講演

クロロキン使用によつて起つたと思われる眼症状について

著者: 大木寿子1

所属機関: 1東邦大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.287 - P.294

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Ⅰ.緒言
 クロロキン(レゾヒン)は,1934年Andersagによつて合成され,1938年Kikuthによつて,マラリヤ治療剤としての効果を認められたが,最近では,リューマチ,エリテマトーデス,腎炎等,所謂膠原病に対する抗炎症剤としての有効性が認められ,広く治療に応用される様になつた。しかしその有効性が認められると共に,副作用として2,3の特殊な症状が眼に表われる事が知られる様になり,且つ多くの報告がなされ,最近では,Mayer,Penner等が,クロロキンの副作用を,可逆的な角膜の変化及び不可逆的な網膜の変化に分け,後者を防ぐ為には,常に眼科的観察を必要とする事を報告している。
 私は今回,クロロキン投与中に角膜の溷濁を来した症例及び網膜に変化を伴つた症例を,2〜3観察する事が出来,幸にその中の1例につき,病理解剖を行う事が出来たのを機会に,之等より得られた所見を再検討し,更にHobbs等が行つた,家兎における実験的クロロキン中毒の報告をもとに,他覚的にその早期発見が可能なりや否やを検討する為に,実験的クロロキン中毒を,あえて家兎を用いて行ない,種々考察し得る事が出来たので,ここに報告致します。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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