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特集 第16回日本臨床眼科学会号(3) 一般講演
色覚異常におけるGenetic Carrierの色覚について第4報—彩度識別能検査の成績
著者: 馬嶋昭生1 渡辺文吾1
所属機関: 1名古屋医大学眼科
ページ範囲:P.544 - P.550
文献購入ページに移動遺伝性疾患の遺伝的保因者(genetic carrier:以下単にcarrierと云う)を発見することは,臨床遺伝学を研究する者にとつて重要且つ興味ある課題の一つである。眼科領域に於ては,遺伝疾患が多く,特に先天性色覚異常はその大部分が遺伝型式も明かで異常形質についても多くの研究がなされているがcarrierについての報告は少い。
我々は数年来色覚異常のcarrierの特性について検索を続けて来た1)2)3)。幸に対象となるcar—rierを集める事は比較的容易であるが,これらの特性について得た所は少く,まだ未知の女性,或はcarrierの疑のある女性に対してcarrierか否かを断定する事はほんの一部にしか出来ないのが現状である。即ちこれまでの結果を要約すると,第1異常のcarrierに対するSchmidt'ssign4)5)はその約半数に認められ,従つて第1異常のcarrierの約50%は比視感度の測定により発見出来ること1)2),carrierの中には色相排列検査で弁色能が正常者の範囲を越えて幾分低下している者があること3)及び石原氏表に対する応答で,正常範囲内ではあるが低誤読が正常者に較べて多い傾向にある事2)3)を認めた。
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