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文献概要
臨床実験
ナイスタチン・クロラムフェニコール眼軟膏の使用経験
著者: 内田幸男1 松村香代子1
所属機関: 1徳島大学医学部眼科
ページ範囲:P.781 - P.785
文献購入ページに移動 抗生物質の出現以来,細菌性の眼瞼,結膜及び角膜の疾患は治療も容易となり,患者も激減して来ている。これと逆に真菌性の疾患は増加の傾向があり,問題となつている。中でも重篤な症状を呈する角膜真菌症が注目を浴びていることは,内外を問わず,近年その報告例が増していることからも窺える。しかしこの他に症状が軽いため見逃され易い眼瞼,結膜の真菌症もかなり多数ある。
なぜに真菌症が増えたかという原因に,抗生物質の濫用による菌交代現象が起つたためと考える者もある。しかしこの点に関してはまだ疑問の余地がある。Cortisone系統の薬の使用が真菌の発育を促進し,生体の真菌に対する感受性を高めるということは,つとに三井・花房によつて報告されている。また氏等によると結膜嚢内からは18%の頻度で真菌が検出されるという。これらの真菌が外傷などの誘因で組織内に侵入し,病原性を現わし角膜真菌症を起すことが考えられる。従つて眼瞼及び結膜嚢内の真菌は軽視出来ない問題である。
なぜに真菌症が増えたかという原因に,抗生物質の濫用による菌交代現象が起つたためと考える者もある。しかしこの点に関してはまだ疑問の余地がある。Cortisone系統の薬の使用が真菌の発育を促進し,生体の真菌に対する感受性を高めるということは,つとに三井・花房によつて報告されている。また氏等によると結膜嚢内からは18%の頻度で真菌が検出されるという。これらの真菌が外傷などの誘因で組織内に侵入し,病原性を現わし角膜真菌症を起すことが考えられる。従つて眼瞼及び結膜嚢内の真菌は軽視出来ない問題である。
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