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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科17巻8号

1963年08月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・93

悪性高血圧症(K-W4群)の各病期を示した網膜症の経過

著者: 海村四郎

ページ範囲:P.931 - P.932

図譜解説
 Keith,Wagener,Kernohan (1938)の分類で第4群の悪性高血圧症にぞくする患者について,その網膜症の経過を観察し,本症の4期の変化を追究することができたので眼底写真を供覧する。

綜説

眼底血圧の測定—第16回日本医学会総会シンポジウム講演

著者: 川嶋菊夫

ページ範囲:P.933 - P.943

I.緒言
 眼底血圧測定の方法論及びこれに伴ない別の角度より行つた2〜3の測定法による眼底血管の態度,並びに測定に際し生じる種々な生理学的の複雑な状態については日本眼科学会雑誌総会号に記載したので,この度びはその重複をさけ現在迄色々と討議されて来た問題,例えば眼底血圧は何処の圧なりや,又高血圧症患者に於ける上博血圧との関係等,更にはこの眼底血圧の意義を動的血圧変化即ち脈波の示す態度より考究して見た。

臨床実験

視力検査用の新作平仮名視標

著者: 大島祐之 ,   高垣益子 ,   篠田茂 ,   榎本辰男

ページ範囲:P.945 - P.950

 先に視力検査の標準装置試案として私共1)は正確なLandolt環(以下L環)を配列したものを発表したが,同時に視力表・視力検査具の分類大綱として,1)標準視力検査装置,2)スクリーニング用視力検査具,3)特殊視力検査具の3者をあげた。今回は,そのうちのスクリーニング検査具に属せしむべき紙製視力表などに使用し,臨床検査における実用価値が高い文字視標を新たに試作した。わが国の文字視標は,石原式視力表2)で代表される片仮名が戦前までは専ら用いられていたが,戦後の学制改革以来,小学校1年生で平仮名の学習から始められるようになったのに即応して平仮名視力表が発表され,今日,各種字体の平仮名視標が使われている。総じて平仮名は視力検査用の視標化が困難な字体であるが,国字の仮名は平仮名を主体とする線を崩さないとの文部省の意向があるので,視力表の文字視標は平仮名を主流とするのが妥当と思われ,視力検査基準化の一環として作製した今回の文字視標も平仮名を選んだ。

高年者に発生した網膜膠腫の1例

著者: 小原博亨 ,   赤塚俊一 ,   阿久津澄義 ,   松井憲義

ページ範囲:P.951 - P.953

I.緒言
 網膜膠腫は主として10歳以下の小児期に発生しUnter10〜12JahrenをGliomalterとさえ言われている。従つて成人の網膜膠腫は極めて稀有とされている。
 Wintersteinerの統計によれば,429例中の最高年齢は16歳であるが,然し,成人に発生した網膜膠腫の報告も無いでは無く,Verhoeffは48歳のRetinoblastoma例を報告し,最近ではMehraet.Hamidは45歳のRetinoblastoma例を報告している。

上皮性角膜炎に対するAugeninの効果

著者: 古味敏彦

ページ範囲:P.955 - P.959

I.緒言
 上皮性角膜炎Epithelial Keratitis (Frieden—wald1),1952)とは,我国における,瀰漫性角膜表層炎(井上達七郎,1894)に相当するが,乾性角膜炎や兎眼性角膜炎なども包含し,角膜上皮の表層に1/10mm程度の大きさの不正円形ないし多角形の混濁をきたし,時には融合して斑状,文字状となり,日により出現部位が変化するが,病勢は一進一退しながら,長期にわたり存続する性質を有している。
 Augenin (救心製薬)は,食用人参DaucusCarota L.より精製分離したところの,ビタミンA作用(生物学的効力はビタミンA1の1/2)を有する水溶性結晶で,化学的性質,赤外線および紫外線スペトルの上からみて,次の化学構造式を持つものと推定されている(石坂音治2),1961)。

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眼科ニュース

ページ範囲:P.961 - P.961

人事消息
 ○加藤謙氏(慶応大学助教授)6月1日付,日大教授・駿河台病院眼科部長に転任。
 ○松尾治亘氏(東京医大助教授)6月15日付,教授に昇格。

第16回日本臨床眼科学会 研究グループ・ディスカッション(3)

高血圧症眼底

著者: 志和健吉 ,   渥美健二 ,   熊谷茂樹 ,   川畑隼夫 ,   井出昌晶 ,   新井宏明 ,   中島章 ,   安部恒太郎 ,   桑島治三郎 ,   鬼怒川雄久 ,   倉知与志 ,   大鳥利文 ,   原田勲 ,   宇山 ,   内田 ,   山本卓史 ,   岸田利夫 ,   柴田茂男 ,   和田光彦 ,   国友昇 ,   松林道雄 ,   大林一雄 ,   神足実 ,   渡辺栄子 ,   村田博 ,   宮下忠男 ,   松井瑞夫 ,   仁田正男 ,   三国政吉 ,   梅村四郎 ,   生井浩 ,   板垣洋一 ,   馬島嘉範 ,   高橋益夫 ,   松山秀一 ,   平山四十三 ,   山田清一 ,   春田長三郎 ,   足立多恵子 ,   原清 ,   古味敏彦 ,   香春嶺二 ,   小林紹泉 ,   谷美子 ,   松田武一 ,   佐藤寿 ,   入野田公穂

ページ範囲:P.963 - P.973

 入野田本日は去る7月6日札幌市で行いました日眼総会の折持ちました本研究グループ集会に於て話合いましたように,主として血管径,管壁透明度,交叉現象についてディスカッスしていただきたいと思います。予めその主旨を御通知して演題をお申込み頂きましたところ,別紙プログラムのように計11題ございました。始め各演者にお話し願いまして,出席者各位より御発言いただき,一問一答式にディスカッションを進めていきたいと思います。本日は係の方より午後2時より5時迄と時間の制限をうけておりますが,若し時間に余裕があるようでしたら分類の問題についても話合いたいとは思いますが,出来るかどうか判りません。皆様の御協力を切にお願いしてこれより始めたいと思います。

談話室

日本眼衛生協会ニュース

ページ範囲:P.978 - P.978

(1)春の無料巡回診療
 協会では毎年春秋2回に都内近県の社会福祉施設の人々と,その周辺の住人のために無料巡回診療を行つているが,本年も朝日新聞厚生文化事業団と共同主催で5月28日から6月12日までの間に,東京都下と神奈川県下の養護施設17,教護施設2,母子ホーム13,精神薄弱児施設14,乳児保育園3の合計49施設を巡回して,収容児童,母親,精薄児施設では保護者(主として母親)教職員と,その施設附近の一般の人々合計5,399人の診療を行つた。患者数は検診人員の約20%である。患者には医師の指示する点眼薬を施設には1ヵ月分を個人には7日から10日分を寄与した。
 視力検査は巡回では設備不充分のため,担当大学に希望者は出向き精密検査をうけることになつている。そして処方箋の発行をうけて国から保護をうけられない貧困家庭の人々には眼鏡を調製して贈る。又,検診の際に特に精密な検査を要する人々も担当大学に出向き診察の結果によつて医師の教示をうけ処置することになつている。

自著を語る『斜視および弱視』

著者: 弓削経一

ページ範囲:P.989 - P.991

 斜視の臨床をいとなんでゆくにあたつて,私がしばしばゆきづまりを感じたのは,わが国には,いまだ斜視型の分類が,なされていないということであつた。もはや,今日では,上,下,内,外のようなわけ方では行われている治療と,調和しない。
 しかし,分類をしようとすれば,斜視の本質にはいつてゆかねばならない。結局,まとまつたものを書かねばならないということになつた。

開業医の欧米医学見聞記

著者: 岡村清水

ページ範囲:P.993 - P.994

 私は昨秋日本医事新報社主催の第6回欧米医学視察団に参加し,9月30日から11月18日まで50日間欧米に遊んだが,一開業医としてその見聞を述べ,これから次第に自由となる海外旅行の参考になれば幸いと考える次第である。
 この視察団は医師15名でその大部分は開業医で大変気持のよい人ばかりであつた。眼科は私一人であつた。旅程は団名ほどに医学視察は少くて,観光が主となつていたが,私は出発前三井教授にお願いして各地の眼科学者に紹介状をいただき予め連絡して置き,自由時間を利用し眼科見学に努めたが,夏時間の旅程が現地で変更になつたり,祭日や日曜などのために,アメリカでは予定の眼科見学が殆んど出来なくて残念であつた。

健保制度と眼科医

著者: 高尾泰孝

ページ範囲:P.995 - P.995

 健保制度が制定せられてから既に長い年月が経過して居ます。それにも拘らず制度の改善は社会の流れに追い着けない現状です。
 今回某地方都市で県の審査員による眼科講習会が開催され我々も参加致しました。

手術 白内障全摘手術について(第4回北日本眼科学会シンポジアム)

3.α-Chymotrypsinの使用経験及び両眼同時白内障全摘出術125例の成績

著者: 小川一郎

ページ範囲:P.979 - P.984

I.α—Chymotrypsinの使用経験
 今回は白内障全摘出術にα—Chymotrypsin (以下Chと略す)を化学的チン氏帯溶解剤として使用した成績について申し上げます。症例は未だ少くて54例60眼に過ぎない。
 患者の年齢は第1表の如くで,最年少者は19歳で,従来全摘出困難とされていた30歳台以下の9眼はいづれも全摘に成功している。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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