グループディスカッション
高血圧症に関する眼科学的研究—第17回日本臨床眼科学会研究
著者:
入野田公穂
,
松山秀一
,
高橋茂樹
,
渥美健三
,
志和健吉
,
熊谷茂樹
,
桑島治三郎
,
鬼怒川雄久
,
土屋忠久
,
村田博
,
西郷逸郎
,
三国政吉
,
木村重男
,
岩田和雄
,
早津尚夫
,
中島章
,
阿部恒太郎
,
杉町剛美
,
金子寛
,
加藤謙
,
千種正孝
,
松林道雄
,
寺田永
,
後藤匡
,
桜井恒良
,
新美勝彦
,
松崎芳子
,
塩井牧子
,
佐野正純
,
深見正臣
,
近藤正彦
,
宇山昌延
,
芥川徹
,
水川孝
,
東郁郎
,
湖崎弘
,
岩本栄子
,
北川弘子
,
牧内正一
,
由利嘉章
,
中山清
,
生井浩
,
富永佳也
,
高安晃
,
川畑隼夫
,
大山美智子
,
土方文生
,
新井宏朋
,
長山浩二
,
百瀬光子
,
佐伯譲
,
村山健一
,
大磯英雄
,
三浦寛一
,
曲直部正夫
,
原清
,
松下和夫
,
板垣洋一
,
難波竜也
,
壼井忠彦
,
木村一雄
,
安武一雄
,
大村博
,
盛直之
,
宇山昌延
ページ範囲:P.1425 - P.1439
Ⅰ〕「腎性高血圧ラットの眼所見」
ラットの1側又は両側の腎動脈を結紮して,腎に梗塞を起させることにより高血圧を来した。血圧の経過と眼底所見の詳細については,既に報告済(眼紀13巻12号)である。結紮後,凡そ3週〜1ヵ月で効果が現われ,血圧は150〜200mmHgに達し,その後数ヵ月乃至10ヵ月に亘り持続する。半年位を経て血圧が少しく低下する傾向を示すものもある。血圧の上昇に伴ない,眼底に現われる変化は先ず網膜動脈の狭細と蛇行である。血圧が上昇してから半月ぐらい後に現われる。そして2〜3ヵ月狭細が最も著るしくなり,糸の様に細くなうものもある。更にその狭細した血管に口径不同が著明に伴われる。長い年月をかけると,乳頭周囲から網膜にかけて強い浮腫が現われ,やがて網膜全体に灰白色の混濁が現われてくる。更に乳頭浮腫が強くなると,明らかに欝血乳頭の像を示すものがある。しかし乍ら更に長期に亘ると先に狭細していた動脈の狭窄の程度が少し軽くなり,時には前よりも太くなつて見える,即ち動脈が充実して見えるようなものがある。今回はこれらの病理組織学的所見について述べる。
標本は血圧が200mmHg前後に凡そ1年間続き中,眼底には網膜動脈の狭窄蛇行が著明で,網膜浮腫並に欝血乳頭を認めた症例のもので、これでは乳頭に瀰漫性の浮腫があり.それが硝子体内に膨隆して眼底所見に相当する所見である。