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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科18巻12号

1964年12月発行

文献概要

特集 眼科臨床における診断・治療上の困難例

虹彩のルベオージス(赤染)と外反

著者: 加藤静一1 柳沢多加志1

所属機関: 1信州大学医学部眼科

ページ範囲:P.1329 - P.1331

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Ⅰ.序言
 虹彩の赤染(Rubeosis iridis)とは虹彩前面に細小あるいはやや太い血管が新生してその血管網によつて虹彩表面が赤褐色に見える症状であつて最も多く見られるのは糖尿病性虹彩赤染であるが注意して観察していると糖尿病以外の病変や続発緑内障などの時にも屡々見られるものであつて臨床上重要な所見であると考えねばならない。
 虹彩の外反は通常は葡萄膜外反(Ectropiumuveae)と呼ばれるもので虹彩後面の色素上皮層が瞳孔縁を越えて虹彩の表面に外反し瞳孔縁に黒色輪を作るものであるが,従来何故に葡萄膜外反と呼称するのか私には解し難い所で,むしろ虹彩外反と呼んだ方が分り易いのではないかと思う。この外反にも色々あつて先天性外反,老人性外反,機能性外反(縮瞳の際に起るもの)などが区別されるがここに取上げるのは緑内障などに継発する後天性進行性の外反であつて,従前からこの様な症状は予後不良を示すものとして注目されていたものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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