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特集 眼科臨床における診断・治療上の困難例
高齢者の白内障手術の事故
著者: 小口昌美1
所属機関: 1日本医科大学眼科
ページ範囲:P.1333 - P.1334
文献購入ページに移動 白内障手術はその大半が老人性白内障であるから,年令は50〜60〜70才のものが多いのは当然である。比較的稀ではあるが時により80〜90才の患者を手術しなくてはならないことが生じてくる。即ち高齢者の白内障患者の治療についていわわゆる老人性白内障の手術の注意の外にもう一つの準備なり心構えが必要であることを痛感するものである。最近,85才の婦人の老人性白内障を行ない思わぬ困難に遭遇したのでその症例を報告し,そして高齢者(此症例は瘢痕トラコーマを合併していた)の白内障手術に対して反省して見度い。
この症例は局所の事故であつたが,全身的に事故のおこることが矢張り注意しなくてはならない。それは肺炎全身衰弱等の外に一種の精神病の発作である。以前知人の老婦人の緑内障手術のあと精神病発作のために食事を拒絶し遂に突如死亡せしめた例があつた。高齢者の手術は更に慎重を要することを痛感するものである。
この症例は局所の事故であつたが,全身的に事故のおこることが矢張り注意しなくてはならない。それは肺炎全身衰弱等の外に一種の精神病の発作である。以前知人の老婦人の緑内障手術のあと精神病発作のために食事を拒絶し遂に突如死亡せしめた例があつた。高齢者の手術は更に慎重を要することを痛感するものである。
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