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特集 眼科臨床における診断・治療上の困難例
手こずつた症例
著者: 水川孝1
所属機関: 1大阪大学医学部眼科
ページ範囲:P.1379 - P.1384
文献購入ページに移動 われわれが日常臨床で手こずる症例といえば(1)診断がつかないで手こずる場合と,(2)診断ははつきりしているのに治療に手こずる場合の二つがある。しかし,前者のうちには診断がつかぬままに全くの対症療法をやつていても経過良好なものもたまにはあるが,そのような症例は案外記憶にものこらず,学問的な意義も少ないことが多い。それにひきかえ,診断がつかないままに進行して対症療法によつても経過不良なもののなかには患者の方から勝手に転医してしまい,学問的に興味があるのに症例として残らないことがある。後者のうちには診断がついたと思つても実際には誤診だという場合があり,またときには適切な治療が時宜をえて行なわれないために治療に手こずらざるをえなくなつたものかもしれない。こう考えていくとなかなか表題に適当と思われる症例は少ない。それらを承知したうえで一,二をひろつてみる。
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