icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科18巻3号

1964年03月発行

雑誌目次

特集 第17回日本臨床眼科学会講演集(その2) 学会講演集

裂孔閉塞Xenon光凝固法による自発網膜剥離の治療成績(第1報)

著者: 百々次夫 ,   平田敏夫 ,   調枝寛治 ,   野間昌博

ページ範囲:P.233 - P.244

Ⅰ.緒言
 Meyer-Schwickerathの創意になる光凝固は,眼球侵襲最新の1手段として確たる地歩を築きつつあるが,本法の発端における適応対象が,網膜裂孔の閉塞であつたことの当然の帰結として,ジアテルミー凝固法によるそれとの比較研究が要請されるのである。
 私共は,昭和37年に広島大学に備えられたZe—iss光凝固装置で,Xenon光凝固の応用に関する研究をつづけているので,この度は同年5月以降の約1年余に自発網膜剥離に対して,その裂孔閉塞に本法を採用した自験成績を総括報告し,併せて適応条件に関する現在の見解をつけ加えようと思う。

粟粒結核における眼底所見補遺—特にCytoid bodyを証明した1例について

著者: 青木平八 ,   逸見和雄 ,   田島幸男

ページ範囲:P.247 - P.251

Ⅰ.まえがき
 結核性網脈絡膜疾患については,昔から数えきれぬほど多数の記載があるにも拘らず,粟粒結核における眼底所見としては,脈絡膜粟粒結核が代表的なものとしてあげられているに過ぎず,網膜における病変について報告されたものはきわめて少い。
 私共は,眼球後極部に綿花状白斑と小出血斑を初発した脈絡膜粟粒結核の2例を観察し,特に1例においては,剖見によつて網膜の神経線維層にいわゆるCytoid bodyを証明した。かくのごとき例については未だ記載が見当らないようなのでその大要を報告する。

眼精疲労の検診成績—特に眼底血圧との関係について

著者: 宮下忠男 ,   安達禎男 ,   藤原隆明 ,   板橋郁子 ,   鈴木ヒナ

ページ範囲:P.253 - P.258

Ⅰ.緒言
 眼精疲労に関する研究は近年著しく進歩し種々の観点から,多くの研究報告が発表されている。その原因についても,従来の症候性,調節性,屈折性,筋性,調節・輻輳相対性,不等像視性等のほかに,視性神経疲労,全身状態,心因の分析,眼圧並びに須田氏法による検査等が報告されている。また,低血圧症及び網膜低血圧症と眼精疲労様症状との関係についても,次第に注目されるようになつてきた。網膜低血圧につい当てはBailliartが既にこれを認めているが,その後,Moreau,Paufique等の報告があり,我が国でも三国,真壁,本橋,山田氏等の報告がある。網膜低血圧がある者に,頭重,眩暈等の症状が起ることについては先に宮下も報告したが,一方眼底血圧がかなり低くとも何ら眼精疲労様の症状を訴えないものがあることも事実である。これらの関係を更に明かにするためには,訴えをもつて来院する患者を精密に検査することも重要ではあるが,同様な視作業を行なう集団について検査を行うことも,非常に大切なことと思われる。眼精疲労を起すと思われる異常所見があつても,これが同じような作業をするもので症状のないものにも多数発見されるとすればその異常所見を眼精疲労の原因とみなすことは不適当である。

ステロイドホルモン製剤による急性球後視神経炎の早期治療について

著者: 横山実 ,   金子和正 ,   中井義昌 ,   谷口守男

ページ範囲:P.259 - P.265

Ⅰ.緒言
 早期診断及び早期治療ということは総ての疾患における医療の原則ではあるが,急性球後視神経炎については,かつて治療そのものはあまり影響を与えず,むしろ各症例における諸種条件の相異によつて夫々個有の治癒経過を取るものと考えられていた。又,事実,本症の多くは,可成り著明な自然治癒の傾向を有しており,ACTHやコーチゾンが使用されるようになつた後も,その有効性についてはなお多少の疑問が抱かれていた。しかし,近年,ステロイドホルモン(以下S.H.と略)の種々の合成製剤が使用されるに及んで,その本症に対する治効は,多くの報告例が示すように,もはや,疑う余地のないものとなりつつある。我々も,ここ数年来,急性球後視神経炎に対するS.H.治療を行い,特に,その早期治療に関して2,3の知見を得たので追加報告する。

血管拡張剤球後注射による網膜色素変性症の治療

著者: 広瀬金之助

ページ範囲:P.267 - P.274

Ⅰ.症例
第1例坂口,女,76歳初診昭和37年8月27日
 病歴:幼少の頃麻疹が目に入りて角膜に溷濁を来したといつている,夜盲はその頃からあつたらしい。視力は以前から悪かつたが4〜5年前から更に増悪して眼前指数程度になつた右眼の方が左眼より多少よい様であるが陽が当るところでは眼前が白くなつて特にみにくく,羞明があるので日傘をさして歩くという。

Behcet氏病失明両眼の病理組織学的比較

著者: 高安晃 ,   大山美智子 ,   園田輝雄 ,   土屋利紀 ,   貴島陸博 ,   柊山緑

ページ範囲:P.275 - P.280

Ⅰ.緒言
 Behcet氏病の眼球の病理組織学的所見については吾国に於ては,鹿野,生井,萩原,神田その他の諸氏の報告を見るが,総括的には網膜の変化が最も著明であり,却つて葡萄膜には激しい葡萄膜炎であつたに拘らず組織学的には変化が比較的軽度であるといわれて居る。特に水晶体への変化殆んど記載はない。又,各組織に認められる血管炎,或いは管腔閉塞等の所見も多く見られるといわれている。
 最近Behcet氏病で失明した両眼の病理組織学的検索を行い,この両眼の眼組織を比較検討したところ極めて興味ある所見を得たのでここに報告する次第である。

わが教室における球後視神経炎その後の実態

著者: 鈴木宜民 ,   宇佐美恵美子

ページ範囲:P.281 - P.286

Ⅰ.緒言
 鈴木は先きに岐阜における第61回日眼総会の宿題報告を分担し,"本邦における球後視神経炎について"と題して報告し,その中で特に本症の原因的方面に対して重点をおいて述べたが,又,当時問題とされていた視力良好な軽症慢性軸性視神経炎に関しても詳細に述べておいた。
 その際,更に今後の検討にまたねばならぬ問題点として,鈴木がその結論を保留し,或いは慎重に取扱つたものは軽症型のものの病名のことであり又その頻度の点であつた。

両側側頭部に発生した巨大硬膜下血瞳の摘出例

著者: 千葉剛 ,   山本節 ,   石川和夫

ページ範囲:P.286 - P.290

Ⅰ.緒言
 慢性硬膜下血腫は1657年Wepfer1)により始めて記載されて以来多くの報告をみるが,最近交通事故等による頭部外傷の増加に伴い,此等頭蓋内疾患の眼症状にも新たな関心が寄せられてきた。慢性硬膜下血腫は外傷後約2ヵ月,早くとも2週間以上経過してから起るもので,外傷の既往の無い事も稀でない2)。又一般に緩慢な経過をとり,急性硬膜下血腫と異つて種々の検査を行ない得るが神経症状は余り見られないのが常である。これを無症状期というが,厳密には無症状でなく,頭痛,頭重,めまい,耳鳴,悪心,悪感,嘔吐,複視,眼精疲労,易疲労性,不眠又は逆に嗜眠,四肢のしびれ感,運動障害,神経衰弱様の精神症状等,諸種の神経症状が現われてくる3)。又更に脳圧亢進症状が著明になり,うつ血乳頭もかなり認められる。
 慢性硬膜下血腫の発生頻度は報告により多少異なるが,space-occupying lesionの1% (Tonnis),37% (Cushing), 5% (Nordlie), 65%(Klug), 7% (Krayenbuhl & Noto),等の報告がある4)。一方本邦の佐野等は,1546例の脳腫瘍中,慢性硬膜下血腫が55例あり,3.4%をしめると報告している5)。又硬膜下血腫は頭蓋内のどの部分にでも発生し,一側のみならず両側性にも発生する。外国文献では両側性に現われる頻度が比較的多いが,本邦に於いては少ないという事も興味深い点である。

Amobarbital (Isomytal)による弱視の治療

著者: 筒井純 ,   延藤文子 ,   渡辺冴子

ページ範囲:P.293 - P.295

 私は昨年の臨床眼科学会に於て「大脳に於ける視覚の抑圧と薬物による治療」と題する報告を行つたが,この中には真性及び比較弱視の例数が充分でなかつた。その後23例25眼の弱視についてAmobarbital麻酔分析法を従来の弱視療育法にとり入れて行つた所,見るべき効果を収めることが出来たのでここに報告する。

弱視の治療経験および弱視の定義について

著者: 山下龍雄

ページ範囲:P.297 - P.300

 いわゆる弱視の名のもとに,わたくしどもの眼科外来を訪れた児童のうちには,器質的疾患も明らかで治療を加えるというよりも,むしろ教育の対象となる社会的弱視も相当数あつた。しかしここでは医学的弱視,すなわちAmblyopia (以下単に弱視と呼ぶ)についての治療経験を述べ,それをもとに弱視の定義,分類にも触れ,皆さまの御批判をこう次第である。
 弱視の定義はBargerterに従い「器質的変化がないか,あつてもそれでは説明の出来ない視力低下をいう。」として,そのような外来患者に治療を加えた。その数は114名であり,そのうち64名は第1表の如く,単にC.Lの装用練習をしているうちに視力が改善されてきた。

偽近視調査報告

著者: 藤山英寿 ,   松本剛一

ページ範囲:P.300 - P.305

 本調査は第1表に示す如く,8歳から14歳に至る学童205名に対して行つたものである。この205名は,約1,500名中から,日を異にして2回視力検査を行い,裸眼視力1.0に満たなかつた者を選び出し,調査対象としたその人数である。而してその眼数は第2表に示す如く404眼であつた。本報に於ける,偽近視とは,近視との鑑別調査後,正視に復帰したと認められた偽近視を意味する。因みに後出の偽近視Ⅱとは,近視に添加され偽近視を,偽近視Ⅲとは,遠視に添加された偽近視を意味する。
 尚205名の選出方法は上記の如くであるために大部分の遠視は本調査から除外されているわけである。

近視における調節作用の分析—第3報青少年における近視の実態の研究

著者: 堀正剛

ページ範囲:P.307 - P.314

Ⅰ.緒言
 近視の分布において弱度の近視の占める割合が大きいことは,佐藤,安井,大山はじめ多くの人により明らかにされている。とりわけ青少年近視はこの関係が著明である。萩野は青少年近視の発現機序は調節作用が主体をなすものであると述べている。著者も調節作用の面から近視の初期像は特有な性状を示すことを認め,これが近視発現機序に重要な関係をもつことを知つた。今回は愛知県下の小,中,高校生徒の眼屈折状態を検診する機会を得たので近視の分布の実態よりこの関係を追求するために本研究を試みた。

色覚異常者の職業適性に関する研究(1)

著者: 桑原廸 ,   安井和子 ,   大野佑司

ページ範囲:P.315 - P.319

Ⅰ.緒言
 近代社会において凡ゆる面で色は欠くべからざる存在となり,従つて職場においても色覚異常が問題となりつつある。先に湖崎氏及び私は各種職場における色覚異常者の実態調査を行い,技術系のみならず事務系においても非常に不利な立場にある事を知り,今回は先づ事務系特に銀行関係に於いて仕事上屡々問題となる色伝票に就き色覚異常者達は如何に実際色を混同するかという点につき調べ,これから色覚異常者の銀行業務上の適性を考究しいささか知見を得たので次に報告する。

半盲症の臨床的観察

著者: 佐野裕志

ページ範囲:P.321 - P.326

Ⅰ.緒言
 半盲症は視交叉部以後の視路のいかなる部分にでも起りうるものであるが,その障害部位を決定する事が困難である場合がしばしばある。これに関する文献は殆ど枚挙に暇がない程であり,種々の論議がなされている。
 半盲症の原因及び病巣部位に加えて,予後について知る事も重要であると考える。今回著者は6年8ヵ月間に得られた半盲症19例について,遠隔症状を葉書によつて調査した所16例から回答を得,その中10例までを病院で再検することができた。これらの症例について,障害部位診断に必要な諸検査の信頼度及び,視野欠損の予後,あわせては生命の予後についても検討を加えたのでその結果をここに記することにした。

交代性上斜位を重視した斜視の分類について

著者: 久保田伸枝 ,   山本裕子

ページ範囲:P.326 - P.327

 斜視にはいろいろの型があり,同じ性質,同じ特徴のものをグループに分類して考えることは,治療法の決定,予後の判定等に非常に役に立つ。今回交代性上斜位を合併している斜視を独立した一つのグループとして考えることにより,明快な分類が出来ることがわかつたので,ここに報告したいと思う。
 交代性上斜位とは,両眼を交互に遮蔽すると,遮蔽眼が常に上転するものである。

外眼筋筋電図の臨床的応用

著者: 原田政美 ,   石川哲 ,   丸尾敏夫

ページ範囲:P.329 - P.331

 東大眼科教室においては,昭和27年萩原教授が世界に率先して人外眼筋筋電図の重要性に着目され,その指導下に研究が開始された。先ず久保木は開拓者として器械の整備を初めとする幾多の困難を打開し,早くも翌年には最初の研究結果を報告するほどの成果をあげた1)。引続き鴨打,百瀬,佐藤等が研究をうけついで,外眼筋筋電図を臨床に応用するための基礎がきずかれたが,この間の諸業績は2)−15)海外にも大きな反響を呼んでいる16)
 然し残念ながら,それまでの段階では,筋電図を日常の臨床に簡単に応用し,眼筋疾患に必須の検査法として常用するまでには至らなかつた。その主要な原因は器械の側にあり,当時の状勢では己むを得なかつたと思われる。ところが最近東大中央検査部に筋電図室が整備され,その優秀な装置を利用できるようになつたことと,二芯電極の採用により異常波などの検出が極めて容易になつたことに加えて,手技の工夫及び練磨により,凡ての外眼筋から簡単に筋電図を誘導して診断の資料に供することが出来るようになつた。私共が筋電図を日常必須の検査法として常用している状態は,最近1ヵ月間の検査患者数が32名であつて,これは中央検査部筋電図室を利用する各科のうちで最高であることからも,窺い知ることができるのである。

高度視力障害時のEOG

著者: 今泉亀撤 ,   高橋文郎 ,   遠山昂 ,   堀江栄次 ,   田沢豊 ,   小川健次 ,   庄子宇一

ページ範囲:P.333 - P.344

Ⅰ.緒言
 人眼の網膜静止電位Resting Potential (RP)がDewar (1877)により初めて観察されて以来,Schott (1922)に端を発して眼球運動によりRPの変動を間接的に表現する眼電位図Electro—oculography (EOG)の実験的研究が欧米にて少数乍ら行なわれるようになり,1662年にはArden等1,2,3,4,5)の詳細な臨床的研究も現われた。しかし1940年来,脚光を浴び,網膜機能の臨床的検査法の一つとみなされるに至つた網膜活動電流Ele—ctroretinography (ERG)に比較すれば,EOGの影は極めて薄く,未だその後塵を受けている現状であり,殊に病的眼に対する網膜機能検査を目的としたEOGの臨床応用は,本邦に於ては全くなく,異邦に少数の研究発表があるに過ぎない。
 既に当教室では,Arden等に先んじて遠山6)が1962年7月に網膜色素変性のEOG,次で堀江7)が1963年4月に諸種眼底疾患のEOGについて夫々日本眼科学会総会に公表し,日本では初めて網膜機能に対するEOG学的態度を解明した。

照明と目の疲労,特に螢光について

著者: 鈴村昭弘

ページ範囲:P.344 - P.349

 近代産業に於ては各方面の科学の進歩に伴つてその産業方式,形態に大きな変化をみせ,それによつて眼障碍も新しい型式のものが見られるようになつた。そこで近代産業眼科学ともいうべき新しい病態生理学理論の確立が必要となる。例えば萩野,鈴村がすでに報告した,動きの刺激によるところの眼障害,或はTVによる疲労,鈴村の螢光灯照明に於ける眼疲労の問題などもこの一端を示すものであろう。今回はこうした考えのもとにテイタイプ用紙の質と眼疲労の問題をとり上げた。
 テレタイプは現代に於ける報道に,或いは商工業に必要欠くべからざる近代通信の花形となつている。テレタイプ作業に於ける疲労の問題は,キイパンチヤーの疲労の問題とともにかつて筆者らは一応検討を試みたことがあり,こうした場合には通常は騒音,紙面の動き,用紙の色,更には色に関連して照明の問題が取り上げられて来た。今回はこうしたテレタイプ作業員そのものの疲労の問題でなく,このテレタイプで送られて来た通信文を読む者に非常な眼疲労感が現われ,そのために重要な誤読をすることがあることが某新聞社に於て問題となつた。こうしたことは読書時にも同様な変化の生ずることが考えられ,単にテレタイプのみの問題ではない。近時読書時に眼痛など,いわゆる眼精疲労様症状を訴えるものが多数になつたことはすでに多くの報告をみるがこうした面にも関連するものとして取り上げてみた。

接着剤(Aron Alpha)の眼科手術への応用

著者: 中川喬 ,   野中富夫

ページ範囲:P.349 - P.353

Ⅰ.はじめに
 眼科の手術では縫合に細心の注意が払われており,縫合の良否が直ちに手術の成否を左右することが多い。縫合には高度の技術と長時間を要する上,時には解剖学上の制約や感染のため縫合が不可能のことがある。従来より眼科縫合技術には幾多の工夫が試みられたが,縫合法以外の組織の接合方法はほとんど追求されていない。
 近年外科手術の進歩と共に,小血管の接合,骨の接合等が行なわれて来たが,縫合だけでは必ずしも結果が思わしくなく,他の新しい接合方法が求められた。一方では高分子学の発達と共に生体にも使用しうる合成接着剤が生産されるようになつた。1955年に常温で加圧を要せずに,微量の水分により迅速に強い重合反応を起すα—Cyano—carylate monomerが発見され(第1表),約4年前より臨床実験に本剤を用いた文献を散見するようになつた。眼科領域ではEllis, R.A.3),Bloomfield, S4)5)らの実験報告がある。著者等は同剤を主成分としたAron Alpha 201, 202を用い家兎で接着実験を行なつた。

自然に吸収された水晶体銅症の1例

著者: 工藤高道 ,   松山秀一 ,   高橋茂樹 ,   川口鴻 ,   菅原ひで

ページ範囲:P.355 - P.358

 銅及びその化合物(真鍮,雷管等)は眼内異物中鉄片に次いで頻度が高く,而も眼内異物のうちで最も刺激が強く,又無菌的に入つた場合でも急激な化膿性炎症を起し,一般に予後は不良である。然し異物の大きさ,飛入部位,その他の条件により予後の良好な例も報告されている。
 私共も最近眼球銅症の1例に遭遇したが,その経過観察中に水晶体銅症が自然消失した極めて興味ある症例である故ここに報告する。

--------------------

眼科ニュース

ページ範囲:P.291 - P.291

人事消息
 ○下山忠典氏(元陸軍軍医監)かねてから脳出血のため数年来療養中のところ,1月22日東京都北区中十条3-7の自宅にて逝去,23日告別式が行なわれた。
 ○永田誠氏(京大講師)昭和38年9月,ロッテルダムにおいて開催された国際臨床ERG学会に出席後,39年8月まで米国Ja—cobson教授(コーネル大学)のもとで電気生理の研究のため滞在。

緑内障用語の統一/緑内障手帳,附注意書き

著者: 須田経宇 ,   河本正一 ,   岸本正雄 ,   湖崎弘 ,   庄司義治

ページ範囲:P.365 - P.369

 第1回緑内障グループディスカッションの際に用語の統一が問題となり,出席の人々にアンケートをとり,それをまとめ,特に庄司が目本医学会用語委員の立場から検討してきめたのがこれである。従つてこれは正式に日本医学会用語委員会で決定したものではないが,緑内障問題を論ずる際にはこれを愛用して下さればお互いに好都合である。

臨床実験

Kanacillinの眼科的応用

著者: 大石正夫 ,   林日出人

ページ範囲:P.359 - P.364

 近年増加しつつある耐性ブドー球菌(以下ブ菌)感染症の対策として,新しい抗生剤の出現が期待されている一方,2種の抗生剤の組合せによつて抗菌スペクトルの拡大,抗菌力の増強を計ると共に,耐性阻止を目的とする合剤が多数登場している。
 Kanacillin (以下KC)はKMとPCの合剤でその1バイアル中にKM 500mg, ProcainPCG 30万単位,PC-G 10万単位を含む筋注用製剤である。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?