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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科18巻5号

1964年05月発行

文献概要

特集 第17回日本臨床眼科学会講演集(その4) 学会講演集

眼圧下降剤としての高張マンニットール液の効果について

著者: 小野弘光1 渡辺文吾1 末松克美2 荻原良治2

所属機関: 1札幌鉄道病院眼科 2札幌医大脳神経外科

ページ範囲:P.561 - P.568

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I.いとぐち
 眼圧上昇に対する薬物療法としてはAcetazol—amide及びDichlorphenamide等の炭酸脱水酵素阻害剤と高滲透圧剤とがあるが,眼圧下降効果は前者のAcetazolamide等は高眼圧症例では必ずしも速効的ではなく,また確実を期し難い場合がある。このため緑内障急性発作時及び眼圧上昇眼に対する手術の前処置としては更に速効的で確実な眼圧下降作用を有するOsmotherapyが有効であり,このうちでもGalin氏等1)及び相沢氏等2)により提唱された高張尿素液がすぐれているとされ広く用いられて来ている。しかし高張尿素液にも溶血を来すことがあり3),電解質変動を来し,心電図上にも変化をもたらし4)5),腎及び心障害を有する症例に対する投与は考慮されねばならない他,局所刺激性が強い等の少からざる欠点を有することが知られて来た。このため相沢氏6)は尿素投与法を経口投与法に変えることにより,これらの欠点をやや補いうるとしているが,高張尿素液にまさる理想的な滲透圧利用による眼圧下降剤の出現が望まれる処である。
 上昇眼圧に対する高滲透圧剤の選択は上昇脳圧に対するそれと一致するものであり,現今理想的脳圧下降剤とし,次第に応用されつつある高張マンニットール液7)8)も眼圧下降剤として応用し得る筈であり,実際昨年Weiss氏等9)は10例に対して本剤を用いた結果を報告している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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