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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科18巻6号

1964年06月発行

文献概要

臨床実験

眼窩内の原発性腫瘍並びに腫瘍様病変により起つた眼球突出の原因,40例に関する病理組織学的観察

著者: 塚原勇1

所属機関: 1京都大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.693 - P.697

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 本稿は,最近10年間に,眼窩内の腫瘍,或は腫瘍様病変によつて一眼,時には両眼に眼球突出を来した症例で,摘出組織を鏡見し得た症例中,病巣が眼窩内に原発したと考えられる40例の原因に関する報告である。
 眼窩腫瘍による眼球突出であることの診断は比較的容易であり,又腫瘍が眼窩に原発している事の推測も必ずしも困難ではないにしても,腫瘍そのものの決定は甚だ困難であり,時にはその部位の予測さえ出来ぬ事も稀ではない。従つて診断の決定した症例を多数集めて,同種の診断の症例群について,症状,臨床所見,好発年齢,性別等の特徴を明かにし,臨床診断に役立てようとする試みはしばしば行われて来た1-13 15)。しかし,眼窩腫瘍の症例の頻度はそんなに高くはないので(0.01〜1.47%3)),一つの教室が扱つた自験例を整理した報告は決して多くはない。そこで,我々が最近10年間に,どの様な原発性の眼窩腫瘍に如何なる頻度で遭遇したかという事を記録にとどめ,将来より大きな統計の一部に資する事が出来,或いは,眼窩腫瘍の症例に出会つた場合の心構えに少しでも役立てばとひそかに願つて本稿を起草する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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