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臨床実験
眼科領域におけるアビロールの使用経験
著者: 樋渡正五1
所属機関: 1日本医科大学眼科
ページ範囲:P.965 - P.970
文献購入ページに移動I.緒言
男性ホルモンに蛋白同化作用のあることを発見したのはKochakian and Murlin (1953)であるが,その蛋白同化作用はマウスでは腎臓の,ラットでは肛門挙筋,モルモットでは側頭筋に蛋白沈着が著しいというように組織の種属差がみられる。そしてこの男性ホルモンの蛋白同化作用のみを取出して,男性化作用その他の副作用を出来るだけ軽減しようとして幾多の製品が合成されて今日に及んだ。
この中アビロール(abirol)は通称メタンドロステノロン(methandrostenolone)と呼ばれ,構造式は△'−17α—methyltestosteroneである。各種の動物実験や臨床実験によれば,強力な蛋白同化作用を有し,男性ホルモン作用は極めて少く,卵胞及び黄体ホルモン作用も殆んどなく,Na及び水分貯留を来たすことも殆んどない上,毒性は極めて少く,少量投与で十分な効果を現わすことが明白である。私は之迄に数種の蛋白同化ステロイドを各種眼疾患に応用してきたが,今回特にアビロールを使用した臨床結果について報告したい。
男性ホルモンに蛋白同化作用のあることを発見したのはKochakian and Murlin (1953)であるが,その蛋白同化作用はマウスでは腎臓の,ラットでは肛門挙筋,モルモットでは側頭筋に蛋白沈着が著しいというように組織の種属差がみられる。そしてこの男性ホルモンの蛋白同化作用のみを取出して,男性化作用その他の副作用を出来るだけ軽減しようとして幾多の製品が合成されて今日に及んだ。
この中アビロール(abirol)は通称メタンドロステノロン(methandrostenolone)と呼ばれ,構造式は△'−17α—methyltestosteroneである。各種の動物実験や臨床実験によれば,強力な蛋白同化作用を有し,男性ホルモン作用は極めて少く,卵胞及び黄体ホルモン作用も殆んどなく,Na及び水分貯留を来たすことも殆んどない上,毒性は極めて少く,少量投与で十分な効果を現わすことが明白である。私は之迄に数種の蛋白同化ステロイドを各種眼疾患に応用してきたが,今回特にアビロールを使用した臨床結果について報告したい。
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