icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科19巻10号

1965年10月発行

文献概要

臨床実験

Thioridazine (Melleril)の大量投与による網膜色素変性

著者: 青木平八1 佐藤豊明1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科

ページ範囲:P.1253 - P.1259

文献購入ページに移動
I.まえがき
 近年精神安定剤としてのChlorpromazineの優秀性が確認されてから,ChlorpromazineのようにParkinson症候群,肝機能障害その他の副作用を起さずに,しかもこれと同等あるいはそれ以上の偉力をもつPhenothiazine誘導体の探求が続けられた。1954年,Chlorpromazineの構成分の一部をN-methyl piperidine環でおき換えたProchlorperazine (2—chloro−10—〔2—N—(methyl—piperidyl)—ethyl〕phenothiazine)がSandozで合成され,NP207の名称で試供されたが(第1図),間もなくKinross-Wright, Verry, Rintelnら,GoarらおよびBurianらによつて,NP207はしばしば網膜色素変性を起すことが相次いで報告されたために,ついに市場に現われるに至らなかつた。その後NP207のClをS-CHでおき換えたThioridazine (2—methylmercapto−10—〔2—(N—methyl−2—piperidyl)—ethyl〕—phenothiazine)が合成されてから(第1図),副作用の少ない新らしい優れた精神安定剤として内外ともにこれが広く用いられ,現在に至つている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?