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臨床実験
脳血管撮影の眼科領域への応用—第3報脳腫瘍(視交叉部腫瘍を除く)の早期診断法としての脳血管撮影
著者: 錦織劭1
所属機関: 1京都大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1349 - P.1367
文献購入ページに移動I.緒言
脳血管撮影法は,1927年Egas MonizとAl—meida Limaにより初めて臨床に応用されて以来,Dandy (1918)の創始になる脳室造影法と共に,脳腫瘍の診断に大きな役割を果して来た。脳室造影法が比較的侵襲が大きく,副作用の発現率が高いのに対し,本法は,手技の簡単な事と,安全度の高い造影剤が出現した事により,近年急速に普及するに至つた。脳室造影法(特に陽性造影剤による脳室造影法)が,脳室系の変位,変形等の所見より,殊に後頭蓋窩腫瘍や脳室腫瘍の診断に絶大な威力を発揮するのに対し,本法は,血管の位置の変化,血管自体の形状の変化,正常には見られない血管の出現—の3つを拠り所として,頭蓋内のspace-occupying lesion (即ち,広義の脳腫瘍)を診断し,これの所在並びに腫瘍の種類をも,或る程度探索し得る頗る有力な手段である。大ざつぱに言つて,現在,天幕上腫瘍の場合には脳血管撮影法が,天幕下腫瘍では脳室造影法の方が,より有力な手掛りを与えてくれる。無論,脳腫瘍の診断に当つて,臨床神経学的所見が何にもまして大切であるのは言を俟たない。
脳血管撮影法は,1927年Egas MonizとAl—meida Limaにより初めて臨床に応用されて以来,Dandy (1918)の創始になる脳室造影法と共に,脳腫瘍の診断に大きな役割を果して来た。脳室造影法が比較的侵襲が大きく,副作用の発現率が高いのに対し,本法は,手技の簡単な事と,安全度の高い造影剤が出現した事により,近年急速に普及するに至つた。脳室造影法(特に陽性造影剤による脳室造影法)が,脳室系の変位,変形等の所見より,殊に後頭蓋窩腫瘍や脳室腫瘍の診断に絶大な威力を発揮するのに対し,本法は,血管の位置の変化,血管自体の形状の変化,正常には見られない血管の出現—の3つを拠り所として,頭蓋内のspace-occupying lesion (即ち,広義の脳腫瘍)を診断し,これの所在並びに腫瘍の種類をも,或る程度探索し得る頗る有力な手段である。大ざつぱに言つて,現在,天幕上腫瘍の場合には脳血管撮影法が,天幕下腫瘍では脳室造影法の方が,より有力な手掛りを与えてくれる。無論,脳腫瘍の診断に当つて,臨床神経学的所見が何にもまして大切であるのは言を俟たない。
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