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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科19巻2号

1965年02月発行

特集 第18回日本臨床眼科学会講演集 (その1)

学会講演

血管再建術を施行せる脈無し病の2例

著者: 清水丈外1 谷口守男1 湯浅浩2

所属機関: 1三重大学医学部眼科 2三重大学医学部胸部外科

ページ範囲:P.147 - P.150

文献概要

I.緒言
 脈無し病に就いては1908年第12回日本眼科学会において,高安右人1)氏により"奇異ナル網膜中心血管の変化の1例"として報告されて以来,高安氏病と呼称されている。本症に脈を触れない事を最初に観察したのは大西克知2)氏で,この事を高安氏に追加している。ついで1948年清水,佐野3)両氏は6例の症例を詳細に研究し,又それまでの報告例をも分折総合して,この疾患を一つのClinicopathological Entityとして確立し,脈無し病と命名され,病変が大動脈弓分枝に特異的に限局していることが強調されている。その後那須4)氏等によつて大動脈弓より分枝する幹動脈のみならず中枢動脈系にも広範に存在することが指摘された。脈無し病の病因に就ては,すでに多くの説があげられているが,未だ確立された説はみられない。脈無し病に対しては,内科的治療よりも外科的治療に期待すべきものが多いようであるが,外科的治療としては,血栓内膜別除術,交感神経摘出術,頸動脈体除去術等があるが,近年De Bakey5)氏らは上行大動脈と鎖骨下動脈間にcrimped tubeをBypass移植し注目を集めた。本邦に於ても木本6),古賀7),稲田8)氏等に,脈無し病に対するBypass移植法の経験例をみる。私共も脈無し病の二例にテトロンによるBypass移植及びpatch移植法を行ない血行の改善をみたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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