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特集 第18回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 学会講演
蛋白分解酵素「プロナーゼ」(科研)の水晶体断帯作用についての実験的並びに臨床的研究
著者: 岸本正雄1 三島恵一郎1 高野多聞1
所属機関: 1長崎大学眼科学教室
ページ範囲:P.165 - P.174
文献購入ページに移動1958年,J.Barraquerが,初めて白内障全摘出術にα—Chymotrypsinを使用して白内障全摘出術が容易に行なわれたことから,enzymaticzonulolysisと名づけて発表し,その後,多くの研究者によりその基礎的並びに臨床的研究が追試され,眼組織への影響も色々と論じられているが,今日ではα—Chymotrypsn及びTrypsinのみがほぼ満足しうる酵素として白内障全摘出術に広く用いられている。従つて,他の蛋白分解酵素にしてそのチン氏帯離断を臨床的に応用し得るものを開発する事は興味あることと思われる。
α—Chymotrypsin及びTrypsin以外の酵素のzonulolysisについての実験的研究にはHoff—mannがProteinase,Ficin,Bromelain,Pro—naseについて,Hoffmann & LembeckがElastaseについて,FasanellaがCollagenase,Ficin,Bromelainについて,高久他6氏はEl—astase,Collagenaseについて報告しているが,これらは動物実験にとどまり,人眼の水晶体全摘出術に応用された報告はない。
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