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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科19巻4号

1965年04月発行

文献概要

特集 第18回臨床眼科学会特集号(その3) 学会講演集

脈なし病の網膜動脈血圧について

著者: 浅山亮二1 宇山昌延1

所属機関: 1京都大学医学部眼科

ページ範囲:P.397 - P.413

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I.はじめに
 高安右人1)は,明治41年(1908),福岡における日本眼科学会において,「奇異なる網膜中心血管変化の一例」と題し,両眼の視力低下を訴える21歳女子の眼底に,網膜血管の乳頭周囲における花環状吻合と,その分枝の球状瘤様物をみとめたと報告した。更にこの講演に対して大西克和2)は,23歳女子の眼底に全く同じ所見をみとめ,且この例では両側橈骨動脈の脈搏を全く触れなかつたと追加し,鹿児島注連吉3)は,左側橈骨動脈脈搏をふれず,眼底は白内障のため見えない同様症例を追加したこの三氏の報告が,特有の眼症状と脈搏の異常を有する疾患即ち脈なし病に関する世界ではじめての報告である。
 その後,中島実4)(1921)は,前記報告と全く同様な症状を呈した19歳女子の症例を報告し,且この例では,頸部,鎖骨下部,胸部に雑音を摂取したとのべている。その後(1926)5),前報の補正と題し,文献をよくしらべると,同様な症例は,高安,大西によりすでに報告せられていたと訂正し且,高安例,大西例,自験例の三例は,全く同じ病像を呈しており,これらが新しい病型をなすものであるとのべた。そして,この病型の特徴として次の事項をあげている。1.多くは20歳前後の女子に来り両眼を侵す。2.眼底は乳頭をめぐる動静脈吻合と,動静脈の所々に動脈瘤様の拡張部があり,しばしば小出血を伴う。炎症症状はない。3.視力著しく悪く,後に白内障をおこす。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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