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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科19巻4号

1965年04月発行

文献概要

特集 第18回臨床眼科学会特集号(その3) 学会講演集

先天色覚異常の遺伝的保因者に関する研究(I)—主としてdeutanの保因者について

著者: 市川宏1

所属機関: 1札幌鉄道病院眼科

ページ範囲:P.437 - P.442

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I.緒言
 遺伝的保因者は疾病によつては一見正常に見えながら,検査法によつて正常所見からの歪みの性質を示す場合がある。高原氏等のAcatalasae—miaの保因者についての研究は夙に有名であり,又最近Spivey7)氏は全色盲のERG検査で保因者に低a波所見を見出し,保因者の研究が原病の本態究明に果す役割は大きいものがある。色覚の面で先天異常のうちのprotanの保因者に長波長光に対する視感度低下が見出されたのはかなり古いことで,この現象は1952年Walls andMathews氏等により発見者の名前をとつてSc—hmidt's signと呼ばれ,Walls2),Crone3),馬嶋・市川4)等の諸氏によつてその存在が認められたもので,遺伝研究上の役割もまた日を逐つて明らかにされつつある。しかしSchmidt's signのメカニズムについてはWalls2)氏の仮説による解釈を除いてこれというものをみない。
 私は前報5)でSchmidt's signは長波長光の単純な視感度低下ではなく,網膜の受容器からの刺激伝導過程におけるflicker効果によつて惹起される特異な現象であつて,直接的な視感度低下を示すものとは思えないことを述べたが,なお明るさに対する感覚とflicker効果の関係など不明な点が多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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