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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科19巻5号

1965年05月発行

文献概要

特集 第18回臨床眼科学会特集号(その4) 学会講演集

頭部外傷に合併した視力障害に対する手術療法

著者: 杉田慎一郎 山崎みきこ 広田寿満子 河辺義孝1

所属機関: 1名古屋大学医学部耳鼻科

ページ範囲:P.627 - P.635

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Ⅰ.緒言
 頭部外傷の直後に検眼鏡的に殆んど異常所見が認められないにも拘らず片眼に著明な視力障害を招く事が屡々ある。諸家の統計的報告によればTurnerは1.5%Phelbsは2.4%Landoltは0.8%Braendleは0.75%Wankeは1.7%から5.2%の間であるとしている。その原因は障害がむしろ眼球内に存在するのでなくて,球後の視神経で頭蓋内の視交叉に到る迄の処にある事は今日広く知られている処である。そしてこの原因や治療法については最近十年間に於て多くの研究,臨床例,手術例の報告がなされてきた。その結果現在云われる処は頭部外傷直後に起つた略々失明に近い症例に対してはその原因の如何に拘らず手術はさし控える方が良いという結論である。著者等は最近三ヵ年に渉つて仁保氏2)等の方法を元として経副鼻腔視束管開放手術27例行い,現在の諸家によつて略々一致した結論が或程度訂正されねばならぬ色々の症例を経験し又頭部外傷による視力障害の原因に就いても些か考察を試みる事も出来る様になつた。これを報告し大方の御批判を仰ぎたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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