icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科19巻7号

1965年07月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・105

眼窩奇形腫の一例

著者: 田坂純行 ,   桐村禾一

ページ範囲:P.883 - P.884

                〔解説〕
〔症例〕女児新生児
 既往歴・家族歴:患者は健康な両親から出生した第一子で,母は32歳の初産婦である。

境界領域対談・3

皮膚科と眼科

著者: 川村太郎 ,   西山茂夫 ,   鹿野信一

ページ範囲:P.885 - P.894

 鹿野この眼科の対談もこれで3回目になるわけですが,今回は皮膚科の川村先生および西山先生にお出願して,いろいろ皮膚科のことを教えていただくことになつたわけです。聴き手の方はどうも同じ者がやるよりもというので,別の方を予定していたのですが,都合が悪くなりまして,また私が引つ張り出された。大変不勉強なものだから,聴くことも,少しピント外れになつたり,お伺いしなくてもいいことをお伺いするようなことになるかも知れない。だけれどもあまりすつかり分かつてる人が聴くと,何だ,聴くこともないということになる可能性もあるので,そういう意味では私のような不勉強のものの方が教えていただくという点においては,いい対談ができ上がるかと思いまして,大変幼稚な質問をするかも知れません,御寛容をお願いします。

臨床眼科

結核菌燐脂質感作カオリン凝集反応の眼科領域への臨床応用

著者: 鬼木信乃夫

ページ範囲:P.897 - P.906

I.はじめに
 内因性葡葡膜炎の原因としては,以前は梅毒と結核が主流を占め,今日ではトキソプラスマ症,サルコイドーシスなどが重大な原因となり,梅毒はもはや影をひそめてしまつたが,結核に関しては,Woods1)の統計からもうかがえるように,未だ全葡萄膜炎の3割を占めている。
 然し結核性葡萄膜炎は,他の原因による葡萄膜炎と同じく診断が非常に困難である。眼局所からの起炎菌の証明は眼球摘出の機会がない限り認めないから,通常我々は皮膚のツベルクリン反応,各種血清反応,房水の細胞反応,ツベルクリンによる局所病巣反応,肺結核病巣の既往歴,肺門リンパ腺の石灰化,抗結核剤の有効性(Diagnosisex juvantibus),他の原因除外(Diagnosis byexclusion)等を参考にして推定的に眼結核を診断している現状である。最近ではトキソプラスマ症を始めとして,サルコイドーシス,ヒストプラスマ症,ブルセラ症等の他の原因による内因性葡萄膜炎の存在が明かになつたことから,眼結核の診断はますます困難となつて来つつある。

「脳神経と眼科」佐野教授・鹿野教授の対談を拝見して(臨床眼科18巻12号)

著者: 仁保正次 ,   村上郁夫

ページ範囲:P.907 - P.918

I.緒言
 いわゆる視神経管骨折を論ずるにはその全周を検査し,あるいは全周を対象として手術をしてその手術法の良否を論じなければならない。先ずこの対談は視神経管上壁のみを扱われる佐野教授のお考え,研究業績でわれわれの視神経管開放術を論じた所にまちがいがある。鹿野教授は視神経管上壁の圧迫のみで,われわれの多年の業績を論じていられるが,軽卒のそしりは免れない。従つてこの対談にはわれわれの行つている上眼窩裂減圧手術によつて,視神経と一緒に障害された動眼神経,外転神経麻痺の手術的療法は述べられてない。
 著者は昭和39年3月,東京眼科集談会の席上で鹿野教授の面前で20例の成績をあげて講演した。この対談のようなお考えならば,このような手術法をすれば,このような立派な成績があがるからと,症例,手術成績,遠隔成績をあげて,仁保,佐藤式手術を止めるように発言されては如何なものであろうか。

融像による単一視と絶対単一視

著者: 船石晋一

ページ範囲:P.919 - P.922

 従来,両眼単一視は網膜融像によつてのみ行われると信じられ,融像則単一視,単一視則融像として扱われていたが,これとは別種の絶対単一視のある事が発見出来た。等しく両眼視するのに2様の単一視がある事は,一応奇異に思える。就ては,更めて両種単一視の差違を検討する必要がある。
 今,黒糸を,白色小球2個に通してこれを弦状に張り,其間隔を20cmとし,両球とも正面,眼より僅かに低く持ち,近方の球50cmの位置から両球を眺めると,何れも1個として見える。特別に1方を注視すると他は複視される,遠球を注視の際は交叉性,近球の時は同側性の複像を見る。2球の間隔を大きくすると,更に複視は著明になる。

角膜の細隙燈顕微鏡写真撮影法

著者: 武田和夫

ページ範囲:P.923 - P.928

I.緒言
 細隙燈生体顕微鏡は最近その普及がいちじるしく,眼科診療の必需品といわれるほどであるが,その観察した所見を記録するのに写真はまだあまり利用されていない。前眼部の写真撮影は一眼レフカメラや,ストロボ等の進歩により容易になり,Zeiss細隙燈顕鏡附属の装置を使用すれば,誰にもほぼ失敗なく撮れるようになつた。しかし細隙光によりはじめて観察される所見を写真で記録するのは困難であり,あまり行われていない。
 著者は角膜移植に関する臨床的観察に際し,角膜におこる変化を細隙光で観察し,カラーフィルムで記録することを考え,細隙燈顕微鏡に特殊な加工をせず,高倍率で容易に撮影することが出来る附属装置を考案し,この装置による撮影を試みたので,その結果について報告する。

脳血管障害と眼症状

著者: 小島克 ,   渡辺郁緒 ,   新美勝彦 ,   大河内雄幸 ,   安藤文隆 ,   高橋貞二

ページ範囲:P.929 - P.934

 脳血管障害による眼症状のうち,今回,我々は特に,脳血管障害による同名半盲,及びその他の視野変化について述べてみたい。

脳血管障害に伴つた眼症状

著者: 田川貞嗣 ,   塚原伸司 ,   香春嶺二 ,   浅野裕

ページ範囲:P.935 - P.936

 この数年間に吾々の教室を訪れた脳動脈瘤よりの出血,脳動脈硬化症,脳動脈閉塞,硬膜下出血等を示した症例の眼症に就いて述べる。

農薬ブラエスM粉剤による眼障害—特に散布作業による眼障害防止,野外実験成績に関して

著者: 大岡良子 ,   塩崎英一

ページ範囲:P.937 - P.941

I.緒言
 ブラストサイジン—Sは東大農学部農芸化学科抗生物質研究班及び東大応用微生物研究所と農林省農業技術研究所農薬科との共同研究により,昭和33年Streptomyces GriseochromogenesFukunagaより抽出された抗かび・細菌性の新抗生物質である。特に稲のいもち病に対しすぐれた治療効果のある事が確認され,実用化された農業用抗生物質としては我国で発見された最初のものと云われている。昭和36年度より従来広く使用されていた有機水銀の予防効果を期待するため,ブラストサイジン—Sに醋酸フエニール水銀を加えた混合剤であるブラエス—Mが,いもち病の防除薬剤として実用化,市販されるに至り,いもち病の予防並びに治療に画期的な効果をおさめていると云われている。一方本剤による眼障害に関しては,昭和35年度に製造工場の従業員にみられた報告を始めとして,諸氏により臨床並びに実験報告がなされているが,しかし本剤の生体に対する作用機序は尚不明で,治療に関しては現在の所,対症療法の域を出ていない。又予防としては本剤の眼内飛入を避ける事が先づ第一であり,その為には防塵グラスや保護眼鏡の使用がすすめられており,万一飛入した場合は早期洗眼の有効性が強調されている。

炭酸脱水酵素阻害剤の長期投与における副作用とその対策—特にアスパラギン酸カリの使用について

著者: 飯塚哲夫

ページ範囲:P.943 - P.946

I.緒言
 1954年Beckerが炭酸脱水酵素阻害剤であるDiamox (Acetalzolamide)に強力な眼圧下降作用のある事を報告して以来,本剤は緑内障に欠く事が出来ないものとなり,其の後更に強力な,副作用の少ない薬剤が研究され,Daranide, Diu—rex, Neptazane等が相次いで発見され使用されるに至つた。
 此等の薬剤は作用が強力で効果が絶大である為に次第に長期に亘つて使用される例が多くなり,此の結果此等薬剤のもたらす副作用についても色々論議され,我国に於ても二三の報告が見られる様になつて来た。

グリチロン錠の眼科的使用経験

著者: 宇山史郎 ,   坂口弘子 ,   山中守 ,   上田淳

ページ範囲:P.947 - P.950

I.緒言
 グリチルリチン,グリシン,DL—メチオニン等を主成分とするグリチロン錠(ミノファーゲン製薬)は内服により,主として肝における抱合解毒機転の促進,ラノリン飼育家兎における脱コレステロール作用,下垂体副腎機能の活性化ならびに肝におけるコーチゾン破壊酵素の抑制等の作用をもつ。即ち,臨床的には,解毒作用,脱コレステロール,抗脂肪肝予防などに有効である他,強い抗アレルギー作用が認められ,既に眼科の領域においても,阪本氏により眼瞼炎,強膜炎,フリクテン等の,主として生体における過敏性に原因すると考えられている眼疾に有効であることが報告せられている。
 今回我々もまた本製剤を,以下述べる各種症例に使用し,その結果を纒める機会を得たので,茲に報告しようと思う。

Rinderon (Betamethasone)点眼液の使用経験

著者: 浅山亮二 ,   宇山昌延 ,   池田和夫 ,   前田泰子

ページ範囲:P.951 - P.955

 Cortisoneの合成に始まり,つぎつぎに発見された合成副腎皮質ホルモン剤は,副作用少く且つより有効である点に於て,今日眼科治療面に欠くべからざるものとなつている。最も新しい製剤として登場したBetamethasone (製品名Rin—deron)は抗炎症作用がPrednisoloneの8〜10倍で,従来の副腎皮質ホルモン剤に比し副作用少く,既にその内服使用に関しては水川,湖崎,I.A.Abrahamson,D.M. Gordon,坂上他,池田,阪本,生井他の報告があり,いづれも良好な成績を得ている。
 今回私達は,0.1%Betamethasone水性点眼液(PH 8.0,氷点降下0.48)を諸種眼疾患及び諸種眼内手術後の刺激症状に対して使用し,その消炎効果を検討する機会を得たのでその成績を報告する。

印象記

第2回日本弱視教育全国大会

著者: 武田忠雄 ,   佐々木徹郎

ページ範囲:P.965 - P.967

 日本弱視教育研究会の第2回全国大会は去る11月22日宮城県白石市の市民会館及び公立刈田綜合病院で行われた。この日白石市は朝から寒風に見舞われ,チラチラと初雪まで舞う天気であつたが,予想外の盛況で,主催者側では市民会館の180名定員以内と予定していたところ,230名という思いがけぬ大勢の参加者に嬉しい悲鳴をあげたほどであつた。9時少々過ぎ,宮城県教委,加藤指導主事の進行司会により開会され,大会運営委員長菅原博士の挨拶,文部大臣,上西宮城県教育委員長,麻生白市石長,柴田白石市教育長の祝辞があり,9時45分一般研究発表に入つた。中林副会長が座長となり,軽妙な名調子で司会された。
 第1席,山形県立盲学校,阿部孝男教諭は「弱視児指導の編成の諸問題」と題して,従来の盲学校の盲児を中心とした教育のあり方から,現在における弱視児の比率より,弱視学級編成問題にふれ,学級構成員数と個人差の問題,視力障害よりくる人間関係の問題について述べ学級編成上

第69回日本眼科学会総会(1)

総括,他

著者: 桐沢長徳 ,   奥田観士 ,   塚原勇

ページ範囲:P.957 - P.963

 第69回日本眼科学会総会は4月19-21日の3日間,熊本市で開催された。総会の講演内容についてはそれぞれ分担諸氏の報告があるので,筆者はそれ以外の総会風景について述べることとする。
 総会に先だち,前日の18日に熊本城に近いホテル・キャスルで理事会,評議員会が行なわれた。まず,明後年の特別講演と宿題報告の選考事情について述べれば、特別講演は,定年に最も近い教授がその選に当るのが例ではあるが,2年後の定年に予定されている高安教授(鹿大)が満場一致で決定した。次いで宿題報告は予め評議員の文書投票による上位3者,即ち(1)網膜色素変性の病因と治療,(2)近視の予防と治療,(3)頭部外傷と眼機能障害の3題について投票が行なわれ,その結果,頭部外傷と決つた。続いてこのテーマに関する担当者の推薦が行なわれ,眼科から2名,脳外科から1名を選考することになり,前者は井街譲教授(神大),深道義尚講師(東大)に,後者は佐野圭司教授(東大脳外科)に決した。この外に,今年から会長指名による宿題報告を更に一つ追加し得ることとなり,これが丁度,明後年の名古屋の医学総会の年に当るので,その時の分科会長小島克教授(名大)と副会頭の萩野学長(名市大)に一任することになつた。

--------------------

眼科ニュース

著者: 中泉

ページ範囲:P.969 - P.969

第19回日本臨床眼科学会総会
期日11月14目(第2日曜午前,午後)
場所仙台市
会長桐沢長徳
 上記は昭和39年12月13日東京医科歯科大学に於て開催された世話人会に於て満場一致定められた。会長予定の桐沢東北大教授にもお願した処御快諾を賜つた。なお詳しい事は宮城県の世話人会に於て決定次第御報告申上げます。なお41年は東京都に於て開催され鹿野東大教授に会長をお願する予定である。この時大体同時に目本眼科学会の創立70周年祝賀会が東京に於て開催せらるる予定になつている。

18回臨眼学会グループディスカッション

緑内障

著者: 青木巧喜 ,   相沢芙束 ,   松山秀一 ,   木村良造 ,   堀内輝男 ,   三国政吉 ,   岩田和雄 ,   福地裕子 ,   木村重男 ,   小柳美智子 ,   石田修 ,   倉知与志 ,   米村大蔵 ,   河崎一夫 ,   八田正幸 ,   早稲田博子 ,   西本和夫 ,   鈴木宣民 ,   北沢克明 ,   陳戴基 ,   岡田信道 ,   竹内勤 ,   高瀬明 ,   加藤昌義 ,   百瀬皓 ,   庄司義治 ,   庄司準 ,   百瀬光子 ,   山森昭 ,   河本正一 ,   遠藤耀子 ,   鹿野信一 ,   清水弘一 ,   稲葉光治 ,   塚原重雄 ,   沖田美智 ,   伊藤康行 ,   高垣益子 ,   井出昌晶 ,   倉田浩二 ,   糸井素一 ,   岸田明宜 ,   神吉弘男 ,   大岡良子 ,   塩崎英一 ,   太根節直 ,   小池裕司 ,   根本達雄 ,   滝本伸子 ,   神前正敬 ,   寺田永 ,   早川輝夫 ,   大野祐司 ,   内海栄 ,   野島巌 ,   山本修 ,   大村博 ,   植村操 ,   船橋知也 ,   丹羽康祐 ,   三木清己 ,   谷口守男 ,   上野一也 ,   浜田幸子 ,   雨宮次生 ,   湖崎弘 ,   中谷一 ,   坂本善晴 ,   岡川洋子 ,   今泉正寛 ,   今井晴一 ,   白井正清 ,   山口銀子 ,   池田イサ子 ,   奥山シズエ ,   杉田合 ,   上崎博 ,   高本佐喜子 ,   田野良雄 ,   棚橋東一 ,   池間畠男 ,   飯沼巌 ,   宇山史郎 ,   上野山謙四郎 ,   坂口健 ,   坂牧弓紘 ,   須知律子 ,   松尾英彦 ,   広瀬泉 ,   山本彰 ,   林皓三郎 ,   内田幸男 ,   福田量 ,   南熊太 ,   吉岡久春 ,   野中栄次 ,   岸本正雄 ,   柿本未人 ,   山之内卯一 ,   三島恵一郎 ,   大坪正美 ,   岡山高幸 ,   阿部孝司

ページ範囲:P.971 - P.977

 この研究は原発緑内障を「ある特殊な不明の新陳代謝の低下による全身疾患の眼発現である」とする著者の推定より出発している。従つて何等かの方法によりその代謝の低下を促進し得れば症状が恢復に向い正常眼圧の緑内障であれば視機能もよく保持増進できるとの考えにもとついた試みである。
 従つて著者は従来視野狭窄に用いられている末梢血管拡張剤よりも生理的物質(アントラニル酸,ビタミン類等)を主にして全身的に用いた方がよいとしている。そして局所には縮瞳剤を適宜に用いる。

涙の会(第1回)

著者: 山口光弘 ,   栗林保人 ,   深道義尚 ,   植元葉 ,   弓削経一 ,   百々隆夫 ,   長鳩孝次 ,   幸塚法子 ,   中山千里 ,   水川孝 ,   東郁郎 ,   井関潤子 ,   大塚礼子 ,   小口昌美 ,   宮川宏子 ,   田鍋庸子 ,   平野潤三 ,   城戸竜郎 ,   杉山伸子 ,   香春嶺二 ,   荒木敬二 ,   桐淵槇一 ,   春山茂之 ,   広瀬泉 ,   三島恵一郎

ページ範囲:P.979 - P.982

 本会の成立:第68回日眼総会の折,栗林,長嶋,山口氏等の発起により弓削を司会者として合同討論会を開くこととなつた。会名は名大からの機会提供の誘いの時,弓削,長嶋の相談によつてきめた。
 本会の予定:司会者の意志によつて次のような予定を以て進行させることとした。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?