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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科19巻8号

1965年08月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・106

赤道部輪状締結法の一変法

著者: 水川孝 ,   湖崎弘 ,   真鍋礼三

ページ範囲:P.993 - P.994

〔阪大式赤道部輪状締結法〕
 重症網膜剥離に行なう赤道部輪状締結法を,Schepens法より操作を簡単にし,Arruga法より安全にかつ締めやすく改良した。術式は露出した強膜の赤道部で各直筋問に3〜5mmの長さのシリコンチューブ(米国ミュラー社,絲付シリコン)を2ケずつ縫着する(計8ケ)(ただし時として1〜2ケ省略することもある)。5号程度の絹糸をチューブの中を通し4直筋の下をくぐらせ,その糸の両端を耳側部で結び正常眼圧より少し高めになるまでしめる。勿論網膜下液の排液,ヂアテルミーの併用,ステロイドの眼注,空気の硝子体内注射など症例に応じて行なう。
(湖崎弘,市橋賢治他:赤道部輪状締結法の一変法について,眼紀:16:342,昭40)

境界領域対談

耳鼻咽喉科と眼科

著者: 堀口申作 ,   大塚任

ページ範囲:P.995 - P.1003

はじめに
 大塚眼科と耳鼻科の領域の問題について対談を仰せつかつたわけです。堀口教授とは同じ学校で,部屋も隣り合わせています。耳鼻科と眼科も隣り合せているわけですが,さつぱり隣のことは知らないで過ごして来たので,今日は先生にいろんな疑問を教えていただきたくどうぞよろしくお願いします。

臨床実験

Routine WorkとしてのSuction Cup Testによる緑内障診断法

著者: 岩田和雄 ,   小柳美智子

ページ範囲:P.1005 - P.1013

I.はじめに
 Perilimbal Suction Cup法はSwedenのRosengren (1934,1956)の創案によるものである。接触面をつけた漏斗状のCupを角膜に被せ,このカップ内に陰圧を作用せしめると,眼球はCupに吸着され,その接触面によつて房水の排出路が圧迫遮断される。このとき房水の産生が引続いて起つておれば房水貯溜により眼圧は上昇する。この眼圧上昇はInflowの大いさに比例するので眼圧上昇度を測定すれば逆に房水産生量が算出される。又Cup除去後の上昇眼圧の下降速度は房水の流出抵抗によつて定まるから,その下降経過を分析すれば流出抵抗を知ることが出来る。このようにして本法は房水のダイナミクスを知るための新しい臨床的の方法として注目されるところである(第1図)。
 しかしこの様な量的算定をなし絶対値として取り扱うには尚解決されねぜならない多くの問題が残されている。

糖尿病性網膜症とアルカリフォスファターゼ

著者: 小島克 ,   岡島武彦 ,   鈴木稔 ,   田中祥子

ページ範囲:P.1015 - P.1017

 個々の例を対照としない限りアルカリフォスファターゼは,統計的な面からは大した結果をえないが2,3について調べてある。
 King and Kind法により測定し正常値は,3〜10にとつてある。N.R.は非網膜症Ret (R)は網膜症をさしている。

私の涙道機能検査法について

著者: 公炳禹

ページ範囲:P.1019 - P.1020

 文化人は,下水道の重要性を知つている。文化住宅,または,文化都市には下水道の設備がよく,ゆきとどいている。涙道は視器の下水道ともいえる。しかし,残念ながら涙道検査をおろそかにする眼科医がまた少くない。アメリカのSTORZの眼科機械のカタログを見ると,195頁の中で涙器に関する機械だけのが10頁も占めている。が,日本の半田屋の105頁より成るカタログにはまだまだ半頁にも達しない。これだけ未だ眼科医が涙器の重要性を充分に認識していない証拠ではないかと思う。
 1936年秋は,涙道の排泄機能を結膜嚢内に2.0%フルオレスチン液の極く微量を点眼硝子棒で結膜面に塗布し,10分後に着色された涙液の消失状態によつて涙道機能を判断し得る新しい原理に基づく方法を,中眼雑誌に報告したことがある。その後,1942年検査方法を少しく改良した。つまり,0.2%フルオレスチン液の点眼により正常眼にでは5分間以内に消失し,異常眼では消失しない現象を標準にして検査する方法を朝鮮医学会雑誌に日本語で報告した。これらの検査方法は"今日公氏フルオレスチン法"として何れも眼科臨床に於て広く利用されている。

Laurence Moon Bardet Biedle症候群の一症例を介して弱視学校特殊学級の増設を望む

著者: 野中栄次

ページ範囲:P.1021 - P.1024

I.緒言
 この症例は昭和39年6月第34回九州眼科集談会にLaurence Moon Bardet Biedle症候群の一症例として報告し同年9月第2回九大・久留米大・山口大合同眼科研究会に於て上記の表題にて発表せしものにして症候群としてはすべての症候を具備しおれる稀なる症例なるためこれを報告し尚又これを介して所見を述べ大方の御批判を乞うものである。

Parinaud症候群の1例とそのベクトルEOG

著者: 上野山謙四郎 ,   近江栄美子 ,   戸田操

ページ範囲:P.1025 - P.1026

I.まえがき
 四丘体領域の病変に際して,垂直注視麻痺(Parinaud症候群)が屡々認められることは,良く知られている所である。
 著者等は今回,中脳水道の閉塞のために脳室の拡大を来し,本症候群を示した1例を観察する機会を得,更に新しい眼球運動機能の検査法であるベクトルEOGをこの症例につき行なつたので,その結果と共にここに報告する。

中枢性半盲の改善を示したスタージ・ウェーバー氏病の1例

著者: 酒谷信一 ,   黒住格

ページ範囲:P.1027 - P.1031

I.緒言
 Sturge Weber氏病は,1860年Schilmerが一側顔面の血管腫と同側眼の合併した症例を報告したのに始まる。
 1879年Sturgeは顔面血管腫,緑内障に合併して癲癇発作を伴う1例を報告し,脳にも顔面同様の血管腫のあることを推論した。

真菌症治療剤によるAureobasidium-Keratomycosisの1治験例

著者: 百々次夫 ,   平田敏夫

ページ範囲:P.1033 - P.1040

I.緒言
 角膜真菌症は1879年にLeberによつて初めて記載され,我が国では30年後の1909年に槇が最初に報告した。以来我が国では,その症例が散発的に記載されて来たが,近年急激に報告例が増加して,初報以来現在までに46報(76例)が数えられる。
 一方,報告例の増加と共に,その治療方法も多様に試行,提唱されて来たが,いまだ決定的な方策がない。最近私共の経験した角膜真菌症の1例で,その菌種をAureobasidium pullulansと同定,これに抗真菌剤Amphotericin B及びNystatinを使用して著効を認めたので報告する。

Neo-Ledercort点眼薬(Triamcinolone acetonideとNeomycin sulfateの合併水溶性点眼薬)の使用経験

著者: 加藤謙 ,   松井瑞夫 ,   樋渡亮 ,   千種正孝

ページ範囲:P.1043 - P.1046

I.まえがき
 日常の眼科診療上,抗生物質の点眼薬と副腎皮質ホルモン剤の点眼薬を併用する機会はかなり多く,また副腎皮質ホルモン剤の使用により角膜等の感染症をきたしやすいこと,さらに抗生物質の有効スペクトルの範囲内の細菌に基因する感染症において,副腎皮質ホルモン剤の併用により,著しい併用効果が現われるとの報告もみられること,等を併せ考えると,抗生物質と副腎皮質ホルモン剤点眼薬は使用に便利な点眼薬であり,使用の機会も多いものと考えられる。
 今回,われわれはLederle社よりTriamcin—olone acetonideとNeomycin sulfateとを含有する水溶性点眼薬の提供をうけ,2・3の眼疾患に使用する機会を得たので,その効果の臨床調査の結果を報告する。この点眼薬はTriamcino—lone acetonideを0.1%,Neomycin sulfateを0.5%(Neomycinとして0.35%)の割合に含有し,さらに防腐剤としてPhenylmercuricacetateを0.02%添加したものである。

交通事故によつて多発したアンモニアによる眼障害とこれを全治せしめた経験について

著者: 武本吉浩

ページ範囲:P.1047 - P.1056

I.緒言
 眼腐蝕として最も頻度の高い角膜及び結膜の腐蝕は,酸アルカリ,金層塩類,動物性並びに植物性物質,種々の合成品等によって惹起させる。
 これら腐蝕物質の何れもこれに触れた部の蛋白質を凝固して組織の壊死を起し濃厚な混濁を角膜に生ずるが,一般的に云って酸類は角膜では表層を強く浸し深部には至らないが「アルカリ」は酸と異なり浸透性があり組織の深部を腐蝕するので「アルカリ」による眼障害は酸によるよりも重症なものが多いことは衆知のことである。

談話室

シーボルト事件土生玄碩、高橋作左衛門等に対する申渡書について

著者: 中泉行正

ページ範囲:P.1057 - P.1063

 世にシーボルト事件として医師土生玄碩及天文方高橋作左衛門両氏に関する事件は有名なものである。たまたま医史学会長小川鼎三博士が見えられ、談シーボルト事件の二三の事に及び、呉秀三先生の名著「シーボルト先生其生涯及功業」という大冊を見ていた処、当所所蔵の前記土生、高橋両氏等の裁判の判決即当時の申渡書の記載が異なる点があり、又必ずしも全文をつたえていないという事に気付き、当所所蔵の天保元年(一八三〇)庚寅六月に下山要人氏により書かれた実秘録と題する申渡書文書と相違がある為にこれを充分に解読せんとしたが、仲々難解な為、医史学会同人中最も故実に通ずる羽倉敬尚翁をわずらわす事となり同氏の研究解読により次にかかぐる様になつた。これが本文の成立で呉先生の御本との比較等は末尾に付記しておいた。研学の方は本書を通読されると共に必ず呉先生の本をも併読される事をお願いする。

印象記

第69回日本眼科学会総会(2)

著者: 坂上道夫 ,   百々隆夫 ,   糸井素一

ページ範囲:P.1065 - P.1071

 南国の情趣豊な熊本市に於いて,前日の特別講演,一般講演によつて,漸く場慣れした雰囲気の中で午前中は第45席から始まつた,熊本県立図書館ホールはほぼ8分の入りであつた。
 第45席,倉敷中央病院,森,松山氏等の葡萄膜炎患者血清蛋白の解析があり,Electrophoresisによつてα—グロブリン域の増強及びβ2グロブリンの増量が報告された。この発表に対し,同様の追加があり,正常範囲内に入るものもあるので診断的価値を得るには尚研究を要するという点,又葡萄膜自体の抗体に関して今後の研究に待つ処を演者は述べた。

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眼科ニュース

ページ範囲:P.1073 - P.1073

臨床眼科学会
 第19回臨床眼科学会を次の如く催しますからお知らせいたします。
○時:昭和40年11月14日(日)

第18回臨床眼科学会 グループディスカッション

神経眼科研究会(第2回)

著者: 井街譲

ページ範囲:P.1075 - P.1082

 第18回臨眼開催に附帯して,学会前日,7日小島教授の御尽力で,非常に快適な会揚に同好者70余が,卓を囲んで,和気あいあいたる気分の中に先に集めた「アンケート」により,神経解剖と,臨床問題を主としての10題の発表と,之に対する討議。更に,此会に,西独ボン大学よりかけつけたO.E.Lund講師の「Cranio-facialeDysplasieの臨床,並に実験病理比較」についての発表があつた。
 会は,次の如き各演題について,講演討議が進められたが,昼食を共にし乍ら,次回会合の希望,テーマについてのアンケートを行つて,将来の発展を期した。

心身眼科

著者: 浅水逸郎 ,   小林準平 ,   志和健吉 ,   堀江栄次 ,   桑島治三郎 ,   朝岡力 ,   山田酉之 ,   土屋忠久 ,   武田浩芳 ,   児島信雄 ,   助川勇四郎 ,   亀井俊郎 ,   高瀬明 ,   福士和夫 ,   島野興司 ,   松尾治亘 ,   野中杏一郎 ,   小暮文雄 ,   堤宗弘 ,   加藤謙 ,   松井瑞夫 ,   丹羽廉雄 ,   荒木保子 ,   兼子博人 ,   佐野邦利 ,   上崎博 ,   冨田綾子 ,   岡田信通 ,   大磯英雄 ,   三国竜生 ,   森川みどり ,   服部知巳 ,   神谷千秋 ,   松浦宏充 ,   久保省吾 ,   池田一三 ,   前田イエ ,   田辺幸行 ,   石郷岡清 ,   筒井純 ,   清家清一

ページ範囲:P.1083 - P.1087

 定刻ややすぎて開会,まず今回の世話人から簡単にこのグループディスカッションの発足事務について説明があり,ついで次回の世話人には加藤謙教授をおねがいすることが提案され,満場の拍手のうちに同教授がこころよくひきうけられた。このあと次ぎの演題順で,なごやかなうちにも活発な討論が,予定時間をこえるまで熱心に続けられた。

近視

著者: 大塚任

ページ範囲:P.1089 - P.1094

 昭和39年11月9日(月)愛知県産業貿易会館で近視のグループディスカッションが行われた。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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