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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科2巻4号

1948年08月発行

文献概要

Ⅴ私の經驗

黄斑部火傷と黄斑部の可視度に就て

著者: 井上正澄

所属機関:

ページ範囲:P.176 - P.177

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 眼底檢査の時に,視神經乳頭の附近,又は網膜周邊部がよく見えるに拘はらず,黄斑部を見ようとすると強く縮瞳して見にくい事が多い。此の事は倒像檢査よりも直像檢査の時に著明である。所が黄斑部に火傷を受けた既往症のある人や新鮮な火傷を受けた人の内には瞳孔反應が迅速であるに拘はらず,散瞳藥を眼點することなしに,患眼のみならず健康眼も黄斑部がよく見え。乳頭から黄斑部に檢眼鏡の光線を移しても強く縮瞳しない場合が往々見受けられる。而し全身的な原因を持つと考へられる中心性網膜炎の場合には散瞳藥なしには黄斑部は仲々見にくい事が多い樣である。此の樣に黄斑部の見にくい事は適當な言葉がないので取敢へず可視度と言ひ,黄斑部が割合に良く見える場合を可視度が亢進して居る又は可視度が大であると言ふ事にして著者の知見を述べよう。
 黄斑部可視度の亢進は神經質な人に羞明を訴へる許りでなく,職業の脅威となる。熔接作業高熟作業,船舶に乘つて見張りを多くする場合航空機に對して直接に肉眼を用ひて見張りを多くする場合,などではサングラスを掛けて居る時,又はサングラスの横から強い光が入る時,又はサングラスを外して居る時に偶然強い光が眼に入つて黄斑部に輕い火傷を受ける事がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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