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Ⅱ臨牀實驗
葡萄状球菌性外眼炎
著者: 水谷豐1 古城力1
所属機関: 1名大眼科
ページ範囲:P.251 - P.253
文献購入ページに移動葡萄状球菌(以下葡菌と記す)は正常健康結膜嚢内にも證明せられ一般には強い病源性は無いと言はれ,又動物實驗上葡菌又はその毒素を健常結膜に入れても著明な急性結膜炎症を起さない場合があり,Axenfeld等はその病源性を疑問視して居る。所が臨床的には亞急性及慢性の場合は勿論,急性結膜炎の場合にも,よく他菌の混在を認むることなく葡菌のみが,其の結膜嚢内に證明される場合がある。Poulardは之をStaphylokokken Conjunctivitis (葡萄状球菌性結膜炎)と稱し,之が發生に關しては,なんらかの素質がある場合に結膜に炎症を起すと考へた。v.Moraxも實驗上葡菌そのものゝ毒性よりも他になにかの刺戟があるとか他菌が共在するかに依り,二次的の感染を起すと稱へた。J.H.Allen, C. S.O'Brlen等は所謂葡菌性結膜炎が臨床的にも多數證明せられ,又動物及人體實驗上その毒素は臨床所見に一致する症状を呈する事を明かにしてゐる。
最近私共は主として眼瞼縁部の上皮剥離と急性結膜炎症とあり同時に角膜にも瀰漫性又は點状表層角膜炎時には潰瘍を合併せる一病型を再三經驗し,その眼脂の細菌學的檢査に依り毎常黄色葡菌のみを證明した點から葡萄状球菌性結膜炎の一病型と考へられ,之等の臨床的症状を詳細に觀察し總括考按を得たのと割合に之等の報告が少なく思はれるので,こゝに記述報告したいと思ふ。
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