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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科20巻11号

1966年11月発行

文献概要

綜説

網膜剥離の治療(裂孔閉鎖術)

著者: 大橋孝平1

所属機関: 1慈恵医科大学眼科

ページ範囲:P.1399 - P.1403

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I.手術の目的と特徴
 網膜剥離(原発)の治療,特に手術的治療法は従来より裂孔閉鎖術が推賞されている。その方法も従来種々のものがあり,Lindner,Paufique,Pischel等の鞏膜切除又はCustodis,Schepens,Arruga等の強膜内陥法等の方法や,その変法がある。ここに記載する方法は筆者が数年来行つて来た推賞にたる方法であつて,眼膜の障害を出来るだけ少くするための,小さいビニールチューブの埋没Tubing Cerclageを行う方法で,これに通したナイロン糸をアルーガ縫合として赤道部を環状に一周させる。かくてチューブの鞏膜内埋没によつて強膜壁に内陥を来さしめるから,その下の網膜裂孔を閉鎖せしめ,網膜下液を排出して剥離を治癒せしめるものである。
 このチュービング法は裂孔部の圧迫によつて網脈絡膜癒着を惹起し,アルーガ糸の併用で,強膜が圧縮されるから,この作用は徐々に持続的効果を呈して,術後1ヵ月で,かなり多い滲出物も完全に吸収されるのであつて,後日はチューブ瘢痕として,眼底に内陥像を認めるから,必ずこれを裂孔の後縁少しく後方で行うのがよく,しかもチューブの内陥が強過ぎないから,あとで強膜に壊死を来すこともなく,殆んど何等嫌うべき合併症,後遺症もないのであり,再発も極めて少ない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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