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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科20巻2号

1966年02月発行

雑誌目次

特集 第19回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 〔学会講演〕

農薬ブラストサイジンによる眼障害の研究—1.家兎眼における発症薬量並びに洗眼による予防効果について

著者: 塩崎英一

ページ範囲:P.117 - P.126

I.緒言
 農薬ブラストサイジン—S (Blasticidin-S)は,昭和33年住木等により,放線菌の一種である,Streptomyces griseochromogenes Fukunagaの培養液より抽出された農業用新抗生物質であり,その後誘導体の開発や,改良も加えられ,既に稲のいもち病の防除薬剤として実用化され,著効をおさめている事は周知の事実である。
 一方,本剤は,その水田への散布使用に際して,特に眼障害をきたす者が少くなく,この対策にも種々の努力が払われている。本障害についての臨床並びに動物実験成績は,既に,渥美,上田,小島,林らにより報告されているが,今回著者は農薬ブラストサイジン—S (ブラエス)による眼障害の実験的研究の一環として,家兎眼に於ける各種薬剤の形態別発症量並びに洗眼による本症の予防効果について実験し,些かの知見を得たので報告する。

眼球結膜の瞼裂部に生ずるフリュクテン様小結節について

著者: 青木平八 ,   田村璋夫 ,   菅野雄行

ページ範囲:P.127 - P.131

I.まえがき
 周知のごとく,近年フリュクテンは著しく減少したが,主として20〜30台の女子の眼球結膜の瞼裂部に生じ,多くの場合潰瘍を作らないフリュクテン様小結節は,割合にあるように思われる。
 私共はこの数年間に,以上のような患者の6例を組織学的に検査し,その5例に少しく興味ある所見を得たので,その大要を報告する。

ヘルペス治療剤の角膜透過性について

著者: 春山茂之

ページ範囲:P.133 - P.142

I.緒言
5—lodo−2'—deoxyuridine (IDU)の単純ヘルペスウイルスに対する抑制効果については,Kan—fmannの発表以来,多くの人々によつて追試され,今日では広く臨床的に応用されている。またIDUと類似構造をもつ一連の薬剤の開発もすすめられ,その一つである5—Iode−2'—deoxycytidi—ne (IDC)がIDUと同等の効力をもつことも認められている。2)3)4)5)6)7)
 一方,ヨードの包接化合物であるpolyvinylalcohl-Iodo (PVA-I2)も,ヘルペスウイルスの増殖を抑制し,臨床的にも有効であることは,すでにわれわれの報告したところである。

点眼薬改良に関する研究—第3報DMSOの細菌学的考察

著者: 神谷貞義 ,   若尾徹 ,   西岡啓介

ページ範囲:P.143 - P.152

I.緒言
 我々は,前回新薬DMSOを紹介して以来DMSOの医療面への応用を試みてきたが,今回は,15%〜20%DMSOが長期点眼しても,ほとんど副作用のない事を認めたので,この濃度におけるDMSOの殺菌作用,発育阻止作用及び5%DM—SOの抗生物質耐性菌感受性回復作用を検討した。実験に用いた菌は,黄色ブドウ状球菌(以下ブドウ状球菌と略す)大腸菌,緑膿菌である。

カスガマイシンの眼科的応用

著者: 鈴木一三九 ,   西昭 ,   丸山早苗 ,   立花暉夫 ,   秋田芳弥

ページ範囲:P.153 - P.156

I.はじめに
 カスガマイシンは1964年,梅沢によつて奈良春日神社の土壌から分離された放線菌から得られた抗生物質である。それはC15H27N3O10・H2O・HCl結晶として単離され,水によく溶け,生体に毒性のないことを特長としている。はじめ,稲のいもち病防除剤として研究され,そのすぐれた効力によって脚光を浴びた。カスガマイシンの優れた無毒性について梅沢は,マウスに2g/kgという大量を静注・筋注しても致死せず,またラット・兎に致死量を見出し得ないと報告している。さらに梅沢らはカスガマイシンの種々の細菌に対する抗菌力を検討し,いくつかの細菌に抗菌力を有することを認めた。そのなかでも注目されたのは,現在,有効な抗生物質の不足している緑膿菌に阻止作用を示したことである。市川らはPse—udomonas aeruginosaによる尿路感染症に本剤を使用して,それが優れた効果を発揮することを報告している。
 さて,緑膿菌による眼感染症で,予後が悪く治療に難渋を来すのは角膜異物除去のあとなどに起るPseudomonas aeruginosaによる旬行性角膜潰瘍と,内眼手術後に稀に報告される緑膿菌性眼内炎である。

真菌(Aspergillus fumigatus)による眼内炎の1例

著者: 越智通成 ,   青木功喜

ページ範囲:P.157 - P.169

I.緒言
 真菌が眼感染症の病原体としてHeidelbergのLeber教授により初めて報告されて以来,既に約90年を経た今日,その報告例が急増している事実は,真菌の病原性と治療法に新たなる問題を提供している。
 我々も眼真菌症例が増加している事実を経験しているが,最近Aspergillus fumigatus (以下A.f.と略す)による眼内炎の1例を経験した。真菌による眼内炎の1報告例は少く,又その分離株を以て2,3の感染及び治療実験を試みたので報告する。

接着剤アロンアルファA「三共」の眼科的応

著者: 池田一三 ,   古味敏彦 ,   川口鴨彦 ,   上江田安彦 ,   下出喜久子

ページ範囲:P.171 - P.176

I.緒言
 現今,接着剤の進歩はめざましく,日用品からロケットにいたるまで接着剤を使用してないものはない位であるが,これを生体接着剤として縫合の代りに使用する試みは最近やつと始まつたばかりである。医学的応用の遅れている理由は,接着剤を生体に適用する場合,次に述べるようなきびしい条件が要求されるからである。
 1.吸着力:固体である生体と液体である接着剤とが強固に引き合う力は主にVan der Waals力であるが,これは距離の−6乗に比例するShort range forceであるから,両者間に余分の水分や脂質が介在せずに直接接触する必要がある。生体においては,つよい圧着や加熱は勿論行なうことはできないゆえ,創傷を接着する場合は,よく水分を拭きとり,止血を完全にしなければならない。それでも粘膜や眼球などでは完全な乾燥状熊は期待されない関係上,多少の水分が存しても接着が妨げられることの少い接着剤が望ましい。それには次の条件も必要である。

α—Mercaptopropionyl glycine (Thiola)の眼科的適用について

著者: 山本覚次 ,   筒井純 ,   喜多島昌二 ,   小橋艶子 ,   本多暢子 ,   本田範行 ,   伊藤若美

ページ範囲:P.177 - P.182

I.緒言
 最近Glucocorticoidが勝れた消炎並びに抗アレルギー作用を有するため,その適応も広がり又その用量も大量使用されるようになつた。然るにこの大量投与,又は長期間持続投与のため,種々の副作用が発現し,現在ではその副作用も軽視するにしのびずして,副作用に就いての報告,又は副作用に対する対策に関する報告も数多く見られるようになつた。
 眼科領域の副作用を大別しても,

Heterochromic cyclitis (Fuchs' syndrome)について

著者: 内田幸男 ,   北室友也 ,   田村修

ページ範囲:P.183 - P.188

I.緒言
 毛様体炎を伴なう虹彩異色はFuchsの名を冠して呼ばれる。最近はSyndromeとしてFuchs症候群とも云われるが,ここでは以下これを用いる。従来欧米,殊に欧州の諸国ではその報告も多く,発表された症例数は数百に及んでいる。これに反し我国では稀とされ,神作1)楠原2)の各1例と,それと疑われる庄司の1例3)計3例の報告を見るに過ぎない。また我国でなされた葡萄膜炎の分類に関する論文の中に本症候群の項目は見出されない。果して本症群は邦人の間には極めて稀なものであろうか。確かに疾患によっては人種,地域の差などによつて発生頻度を著しく異にするものもある。しかしまた一面その疾患がその地域で注目されているか否かということ,或るいはまた診断の基準が同一でないなどのことが発生頻度の上に見かけ上の相違をもたらすことも当然起りうることであろう。
 本症候群はKurzes Handbuch (1930)4)中の分類では葡萄膜炎の0.8%であり,Kimuraら5)は1949〜1950の間に750例の葡萄膜炎のうち2%を占めて,重要な一つのClinical entityであるとしている。これらは葡萄膜炎全体に対しての比率であり,若しこれを前部葡萄膜炎(虹彩毛様体炎)の中でということになれば比率は更に大きいものとなるであろう。葡萄膜炎の原因をつきとめるのには多くの困難を伴ない,病因による分類を行なうのも容易でない。

Cytomegalic inclusion diseaseにおける網膜の病変,電子顕微鏡による観察

著者: 塚原勇 ,   上野一也 ,   川西秀穂

ページ範囲:P.189 - P.191

 Cytomegalovirusによる感染は,局所感染と全身感染があるが,しばしば問題になるのは全身感染で,しかも新産児に起ることが最も多く,先ず小児科医,或は病理学者に興味をもたれた。患児は未熟,貧血,栓球減少,黄疸,肝脾腫,神経症状など多彩な症状を示すが,眼科医がこの病気に関心を持ちはじめたのはしばしば網脈絡膜炎を伴い,又,頭蓋X線撮影で石灰沈着をみとめるので,Toxoplasmosisとの鑑別という理由の為である。網膜,脈絡膜の変化については,剖見時の眼球の組織検査の結果に関する記載が多いが1)−3),成人における本症の眼の所見の記載4)もある。Cytomegalovirusの感染による網膜の変化は,壊死,出血を伴う網膜の破壊であるが,最も特徴的な所見は,核内封入体をもつ単核の大きな細胞が多数見られることである。この細胞の大きさは20-35μであり,核内封入体の大きさは5-10μで,核内封入体は好塩基性で,封入体と核膜との間には透明な輪が介在する。この大きな細胞の他に,しばしば淋巴球の浸潤が見られる。脈絡膜にも同様な核封入体をもつ大きな感染細胞が見られ,脈絡膜血管腔の中にも現われる。
 私共は最近Cytomegalovirus感染症による網膜,脈絡膜の病変を見る機会があり,更に電子顕微鏡によつてその病変の一部を観察することが出来た。

特発性網膜剥離眼の眼圧に関する臨床的観察—その1:網膜剥離眼の眼圧とその長期推移

著者: 吉岡久春 ,   遠藤泰彦

ページ範囲:P.193 - P.201

I.緒言
 特発性網膜剥離と眼圧の問題はすでに古くから色々論議され,且つ興味ある問題である。そして特発性網膜剥離では,眼圧は多くは低下すると教科書6)12)23)24)にも記載され,一般にこの眼圧低下が特発性網膜剥離の臨床的特徴である様に考えられているけれども,網膜剥離の眼圧は必ずしも全例低下するとはかぎらず,正常眼圧か,或は,稀れに,高眼圧を示すことがあることも事実である15)。このうち剥離眼で最も多く見られる眼圧下降の機転に就いても,未だ問題点が多く3),その上,この眼圧下降がいかなる臨床所見と関係があるのか,森寺氏の報告19)が詳しいが明らかでない。
 従来,網膜剥離眼眼圧に就いて報告されている成績を見ると,その網膜剥離の種類は比較的よく区別されているが,剥離網膜の復位が第1回の剥離手術で得られたか,再手術によつて得られたものか,たとえ第1回手術で網膜が完全復位しても,その前すでに他医にて剥離手術を受けたことがあるかどうか,又退院時眼圧を多くは術後眼圧として,術前眼圧と比較しているが,その退院時が術後何日目という明確な記載をしているものが少ない。更に,最近,網膜剥離手術も単なるヂアテルミー凝固法の外に,各種の術式が用いられつつある為,かかる剥離手術々式による差異等,全く考慮されていない。

特発性網膜離剥眼の眼圧に関する臨床的観察—II.網膜離剥と緑内障

著者: 吉岡久春 ,   土屋利史 ,   遠藤泰彦

ページ範囲:P.203 - P.207

I.緒言
特発性網膜剥離の際には,一般に眼圧は低下するものであるが,眼圧が正常又は稀れに亢進し,緑内障を合併することがあることは教科書にも記載されている。1)9)
 この網膜剥離と緑内障との関係については,すでに,1916年LeberはGraefe-Saemisch'sHandb.5)に眼圧上昇は網膜剥離の初期には殆ど認められないが,剥離眼にみられる緑内障は,1)発病及び経過が急性緑内障と同じであるもの2)単性緑内障と同じであるもの。これは非常に稀れで,時には眼圧亢進が非常に緩徐で,年余に亘る経過中,乳頭に緑内障性陥凹を来すことがある。3)続発緑内障で,一般に陳旧な網膜剥離にみられるが,非常に稀れには,剥離発病初期に起ることがあると記載している。

裂孔閉塞Xenon光凝固法による自発網膜剥離の治療成績(第2報)

著者: 百々次夫 ,   平田敏夫 ,   調枝寛治 ,   野間昌博 ,   野間堯

ページ範囲:P.209 - P.216

I.緒言
 私共は,既に第17回臨床眼科学会において,1962年5月以降の約16カ月間に裂孔閉塞Xenon光凝固法を実施した自発網膜剥離32眼の治療成績を報告し,併せて本法の適応に関する見解を述べたが(臨眼18巻233〜244頁),その後更に加えた自験成績を顧みて,重ねて報告したいと思う。

Glaucomatocyclitic crisesの隅角所見

著者: 藤永豊

ページ範囲:P.217 - P.218

I.緒言
 Posner及びSchlossmanがGlaucomato—cyclitic crisesという特異な症候群を発表して以来,多くの報告例をみるが,私は特に隅角所見について観察したので報告する。

電気性眼炎と食物

著者: 小倉重成

ページ範囲:P.219 - P.222

I.はじめに
 電気性眼炎は,同一人でも,強い紫外線に暴される毎に起るとは限らない。本症の原因は尚不明に属するが,一般に,炎衝性疾患の基本が滲透性体質にあるとするならば1),その体質形成に関与する食餌のとり方は,同じく本症発生の一因をなす事が考えられる。ここに,症例数の少い恨みはあるが,昭和39年より40年に亘る約1年間に経験した,発生当日の食餌内容の比較的明かな,本症29例につき,食餌と本症との関係を検討してみた。

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眼科ニュース

ページ範囲:P.224 - P.224

■第4回白内障グループディスカッションの開催並びに演題募集について■
開催日時:1966年5月9日午前9時〜12時
開催場所:松江市県庁講堂

銀海余滴

Velhagenのこと等

著者: 鹿野信一

ページ範囲:P.225 - P.225

 ちよつと話はふるくなるが,臨床眼科学会の時,東独のVelhagen教授が,特別に来られ,仙台で口演をされた。Velhagenの名は非常に部厚い"Augenarzt"というText bookの編集者という意味で知つていたが,初め東大に寄られ1日をつぶして視察をしていつた。なかなか元気のよい爺様で,外来患者の原田氏病やBehçget氏病,中心性網膜炎をみては,いちいち議論Dis—cussionをしようという。どうもこちらは遠来の客なので,あちらに少ない病気をみせてやろうと考え(事実Behçet氏病は独立には全くというてよい程ないそうである),患者さんにもその旨を了解してもらい無理しているのに,短い時間でも,Discussionをしようとするその気組には何か独乙的の学問の仕方というものが感じられて面白かつた。その前に来られた熊本の時の招待口演のCogan教授(米国)の時はBehget氏病は米国には少ない。私は20年間に3人みたのみである。おかげで私は20年間以上の勉強をさせてもらつたといつて,私達の考えている現在の状態を理解しようと努めていつたのと極立つた対比を示していた。Deutschland überallesの気慨なのかも知れない。
 このVelhagen教授について今つ,教授が愈々日本を去るとき,サヨナラパーティを椿山荘に開いた。

臨床実験

毛様体房水の産生機序について—炭酸脱水酵素作用を中心として

著者: 坂上道夫

ページ範囲:P.227 - P.234

I.緒言
 Diamox acetazoleamide…(以下A.A.と略す)の眼圧下降機転に関しては従来より全身的,局所的に色々研究され,炭酸脱水酵素(以下CAと略す)阻害による房水産生の抑制であることは略,確定されながら,その作用機序に関しては尚不明の点が多い。
 茲で興味深い事実はA.A.の出現によつて臨床的に対緑内障治療中薬物療法が発展した事が逆に,房水産生に関してCAの阻害をめぐつての作用機序解明へのいとぐちになつた事である。

Scheie氏緑内障手術の成績について

著者: 宇野宏

ページ範囲:P.235 - P.239

I.緒言
 従来緑内障に対する手術が,数多く施行されその報告がなされているが,1958年,ScheieがRet—ractiorl of scleral wound edges as a fistu—lizing Procedure (Peripheral iridectomy withscleral cautery)として,広く一般に施行されつっあるが,我々も若干の症例を経験し得たので,その成積を眼圧効果,即ち眼圧調整の良否を中心として,合併症,濾過瘢痕,房水流出率(C値)の変動について,比較検討した結果を報告する。

Carbonic Anhydrase Inhibitorsの眼圧及び血清電解質へ及ぼす影響について

著者: 三根亨 ,   山田玲子

ページ範囲:P.241 - P.246

I.緒言
 我々は人の正常眼,緑内障眼及び家兎の正常眼並びに実験的高眼圧眼についてAcetazolamide(Diamox),Dichlorphenamide (Daranide),及びMethazolamide (Neptazane)の3種のCarbonic Anhydrase Inhibitorsの眼圧に及ぼす影響と前2者を連続投与した時の血清電解質へ及ぼす影響について検討したのでその成果を報告する。

Desoxyribonucleaseによる角膜ヘルペスの治療

著者: 百瀬皓 ,   井上潤一

ページ範囲:P.247 - P.252

I.緒言
 1964年ソビエトのK.P.Kaplinaは角膜ヘルペスの治療にDesoxyribonucleaseを用いる方法を報告し,角膜ヘルペスに対する特殊療法に第2の道を開いた。
 さて第1の道は第1表に表示する様に1962年Kaufman等により報告されその後多くの眼科医達により追試された5—iodo−2—desoxyuridine(IDU)或はそれに類似するAntimetabolic Su—bstancesを用いる方法でこの内IDUは我国に於ても市販されて現在迄難治であり,亦抗生物質や,Steroidhormonの出現によつてその病型をも変えて我々を悩ました角膜ヘルペスの治療に光明をもたらした。しかし,IDUはMaxwell等の集計によると表在性の病変のみの症例に対しては極めてすぐれた効果を呈するのに反して,角膜実質にも病変の及んだ症例ではその効果は前者に比較してかなりの差があり,亦,Kaufman自らも述べる様にヘルペス性虹彩炎には無効で円板状角膜炎に対してもその効果には疑問があるとの事である。亦小林氏等の研究によると,ヘルペスウィルスは試験管内で,IDUに対して抵抗性を獲得することが可能で,このIDUに抵抗性を獲得した。

印象記 第19回臨床眼科学会

第1会場

著者: 入野田公穂

ページ範囲:P.253 - P.257

 臨床眼科学会が東北地方以北で開催されたのは初めての事である。
 会期の昭和10年11月14日(日)はよく晴れた日であるが稍々寒かつた。にも拘らず会員の出足は頗る良かつた。会場に当てられた仙台市の宮城県民会館大ホールは新築後間もない立派なもので,定刻午前9時には会長桐沢長徳教授の開会挨拶で幕が開けられた。

第2会場

著者: 福田雅俊

ページ範囲:P.257 - P.260

 うすら寒いが,時折朝日のもれる仙台の目貫き通りを車にゆられて,宮城県民会館へ到着したのは9時10分前すでに相当数の会員が三々五々正面玄関前や,1,2階のロビーに認められた。第1会場はマンモスホールの言葉がぴつたりのようなデラックスムードの1階大ホールであるのに対し,第2会場は同会館の6階にある第2会議室と呼ばれる中ホールで,ぎつしりつめれば300席以上入るかと思われる広さに200程度の座席がゆつたりと置かれ,如何にも第2会場にふさわしい親密感の持てる雰囲気であつた。
 しかし,出来るだけ多くの出題者に満足してもらえるようにとの会長桐沢長徳東北大教授の御好意から,演題数は第2会場でも5時間に31題を消化せねばならぬ由,演者,並びに討論,追加発言者の協力を求める旨の座長の発言があつてから,正9時一般講演が開始された。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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