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特集 第19回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 〔学会講演〕
カスガマイシンの眼科的応用
著者: 鈴木一三九1 西昭1 丸山早苗1 立花暉夫2 秋田芳弥3
所属機関: 1大阪府立病院眼科 2大阪府立病院内科 3大阪府立病院研究検査科
ページ範囲:P.153 - P.156
文献購入ページに移動カスガマイシンは1964年,梅沢によつて奈良春日神社の土壌から分離された放線菌から得られた抗生物質である。それはC15H27N3O10・H2O・HCl結晶として単離され,水によく溶け,生体に毒性のないことを特長としている。はじめ,稲のいもち病防除剤として研究され,そのすぐれた効力によって脚光を浴びた。カスガマイシンの優れた無毒性について梅沢は,マウスに2g/kgという大量を静注・筋注しても致死せず,またラット・兎に致死量を見出し得ないと報告している。さらに梅沢らはカスガマイシンの種々の細菌に対する抗菌力を検討し,いくつかの細菌に抗菌力を有することを認めた。そのなかでも注目されたのは,現在,有効な抗生物質の不足している緑膿菌に阻止作用を示したことである。市川らはPse—udomonas aeruginosaによる尿路感染症に本剤を使用して,それが優れた効果を発揮することを報告している。
さて,緑膿菌による眼感染症で,予後が悪く治療に難渋を来すのは角膜異物除去のあとなどに起るPseudomonas aeruginosaによる旬行性角膜潰瘍と,内眼手術後に稀に報告される緑膿菌性眼内炎である。
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