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特集 第19回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 〔学会講演〕
接着剤アロンアルファA「三共」の眼科的応
著者: 池田一三1 古味敏彦1 川口鴨彦1 上江田安彦1 下出喜久子1
所属機関: 1大阪市立大学医学部眼科
ページ範囲:P.171 - P.176
文献購入ページに移動現今,接着剤の進歩はめざましく,日用品からロケットにいたるまで接着剤を使用してないものはない位であるが,これを生体接着剤として縫合の代りに使用する試みは最近やつと始まつたばかりである。医学的応用の遅れている理由は,接着剤を生体に適用する場合,次に述べるようなきびしい条件が要求されるからである。
1.吸着力:固体である生体と液体である接着剤とが強固に引き合う力は主にVan der Waals力であるが,これは距離の−6乗に比例するShort range forceであるから,両者間に余分の水分や脂質が介在せずに直接接触する必要がある。生体においては,つよい圧着や加熱は勿論行なうことはできないゆえ,創傷を接着する場合は,よく水分を拭きとり,止血を完全にしなければならない。それでも粘膜や眼球などでは完全な乾燥状熊は期待されない関係上,多少の水分が存しても接着が妨げられることの少い接着剤が望ましい。それには次の条件も必要である。
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